取材を進めてみてわかったことがある。アジアのエンタテインメント業界に共通して大事なことは「マルチ」であるということである。

 歌手、役者、モデル、司会者、最後はプロデュースまでこなせてこそ、大スターなのだ。どこから始めるかがそのアーティストの戦略で、各国それぞれに仕事の優先順位が存在する。台湾では、とにかく「司会業ができる」というのはかなり大事な事らしい。

 黄小柔(ファン・シャオロー)は、最初は歌手としてデビュー、その後はドラマや映画にも出演するが、主にテレビ番組の司会者として活躍している。

 四分の一はオランダ人、四分の一は日本人だという。

「父方のおじいちゃんは広田さんです」

 我々は彼女の友達のふりをして台湾のテレビ局に潜入し、撮影することになった。

 台湾のテレビ局は日本のテレビ局並みに厳重警備である。そしてスタジオ界隈には、ありえないほどうじゃうじゃとタレントがいる。そういえばバラエティ番組はかなりたくさんの出演者が出ているようだ。

 黄は前回の特集に登場したアイリスとは幼なじみ。どうも彼女もビジネスマンでもあるらしい。

「ファッションブランドをもっているのよ」

 さっくりした性格らしく、気さくにメイクルームのテーブルに腰掛けてポーズをとってくれた。

「来年は音楽もやろうと思ってるの。ロックね。ロックな性格だから」

 かなり奔放らしいという噂もある。人口の割に台湾のタレントは百花繚乱である。

  • 出演:黄小柔(ホワン・シャオロー)

    父方の祖父が日本で除隊した後、台湾に移り住んだ。4分の1は日本、4分の1はオランダ人。現在はテレビタレント。HOT HEART  というファッションブランドも手がける。物事にこだわらない明るい性格で、テレビ司会者として人気。
    HOT HEART http://www.hotheart.com.tw/

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクションが多い。『キティの涙』(集英社)の台湾版は『KITTY的眼涙』(布克文化)の書名で現在ベストセラー中。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

  • コーディネーター:木山善豪

    アジアエンタテイメントのコンサルティングを核とし、中国語圏のエンタメビジネス全般のサポートを手がける。台湾と日本の血統を合わせもつスタッフで構成された組織で、両国での幅広いネットワークとバランス感覚をもつ。
    [OFFICE303] ENTERTAINMENT&MODEL http://www.office303.jp/

取材協力:
エバー航空 http://www.evaair.com/html/b2c/japanese/
「ハローキティジェットが羽田~台北にも登場!」

台北馥華商旅(FORWARD HOTEL) http://www.imvr.net/hotel/fwhotelsj/

ギア・ハウス、ギア・サポート(東京) http://www.gearhouse.co.jp/

撮影:萩庭桂太