羅さんはとてもいい人であった。台湾の人は総じて人懐っこい。これが台湾取材をほっこりさせてくれる大きな原因だ。二度目に会えばもはや旧知の友達。そう、私がシバタリエなどと書いたあの実力派女取締役のガオさんも、また我々を手厚く歓迎してくれた。待ち合わせは前回彼女がどうしても私たちに見せたかったあのホテルWのバーであった。

 今回も金曜日。屋内の席は満員である。気候も3月とは違い、すっかり夏っぽくなったので、プールサイドの席で立ち飲みしながら待つことになった。

 異国の夜風は心地いい。赤くライトアップされた25メートルプールの両脇にいくつもパラソルが並ぶ。プールの脇に別棟になっているバー・スペースもあるが、そこも満員だ。

 ネオン管のサインが、またいろんな色を放つ。

「懐かしいですねえ」

「うん、バブルだね」

 萩庭桂太はノベルティの上着をそーっと脱いでいた。バイオレットフィズとかグラスホッパーなんていうカクテルを頼んでいる人たちがいる。無性に「君の瞳に恋してる」でも踊りたくなるムードだ。そこへ夜なのにでっかいサングラスをかけて、ガオさんがやって来た。

「ハーイ」

 笑っている。前回の記事を読まなかったのだろうか。私は警戒しながら笑う。彼女は言った。

「もう、森さんが私のことを書くから、彼氏に『オレが迎えにくるとか、つまんないこと言うなよ』って言われちゃったわ」

「……ご、ごめんなさーい」

 彼氏はあの記事を翻訳ソフトにでもかけたのだろうか。私は酔いも手伝って心臓がバクバクしてきた。でもガオさんは笑っている。なんて心の大きい人なんだろう。いや翻訳ソフトも「シバタリエ」は出せなかったんだろうな。

 そして愛想笑いを続ける我々をまた強引に連れ出した。また白いでっかいベンツが……、あ、訂正。アウディでした。

 運転席でハンドルを握るガオさんの話をゼンゴくんが通訳してくれた。

「これから、私の家で飲まない、と言ってます。どうもすごいマンションみたいですよ。パーティのためだけに借りている場所のようです」

「わーい」

 全員が車に乗り込むと、彼女はやおら運転しながら電話し始めた。ゼンゴくんがまた訳してくれる。

「どうやら、彼氏に来ないか、と言ってます。フフ、甘えてますね……」

 こうなったらタケノウチユタカみたいな彼氏かどうかも見たいじゃないの。

 私は運転席の後ろにしがみついていた。

  • 出演:羅志祥(ショウ・ルオ)

    1979年台湾基隆市出身。’96年にユニット「四天王」の一員としてデビューし、歌手、役者、司会と幅広い活動でアジア中の人気をさらう。’06年には倖田來未とのデュエット曲「Twinkle」が日本でも話題に。’11年7月には日本でのアルバム『Only For You』発売。
    日本公式サイト http://www.aziosc.com/show/

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクションが多い。『キティの涙』(集英社)の台湾版は『KITTY的眼涙』(布克文化)の書名で現在ベストセラー中。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

  • コーディネーター:木山善豪

    アジアエンタテイメントのコンサルティングを核とし、中国語圏のエンタメビジネス全般のサポートを手がける。台湾と日本の血統を合わせもつスタッフで構成された組織で、両国での幅広いネットワークとバランス感覚をもつ。
    [OFFICE303] ENTERTAINMENT&MODEL http://www.office303.jp/

取材協力:
エバー航空 http://www.evaair.com/html/b2c/japanese/
「ハローキティジェットが羽田~台北にも登場!」

台北馥華商旅(FORWARD HOTEL) http://www.imvr.net/hotel/fwhotelsj/

ギア・ハウス、ギア・サポート(東京) http://www.gearhouse.co.jp/

撮影:萩庭桂太