台湾での取材は、当日にならないと、本当にどうなるかがわからない。今回も飛び入りで、急遽、中国人の女優が取材できることになった。

 生まれも育ちも中国の西安。すでにここ1年、本国では女優として活躍していて、日本発の女性誌『vivi』の台湾版の専属モデルでもある。撮影のため、月に一度は台湾に来ているという、李心艾だ。

 ところが予定していた日に、彼女が来れなくなった。

 どうやらビザが切れていたのがわかったらしく、我々が日本に帰る日の午前中ならば取材できるとのこと。『vivi』台湾版を統括しているガオさん、イケメン映画プロデューサーのOTISさんがマネージャーのようにいろいろとお世話している。

「子どもの頃から芸術学校に通っている役者が多いなか、彼女は異色なんです」

 そう教えてくれた。彼女は子どもの頃から金融の勉強をしてきたのだという。

「西安は人口数百万の都市ですが、いろいろな勉強が優れていたり、見た目が優れていたりする人を市が毎年3人選んで表彰します。私は学力で選ばれたんですよ」

 水墨画も得意だという。私はノートに「才色兼備」と書いて、彼女に見せた。

「すごいっ、あなた、中国語が書けるんですねっ!」

 彼女は素っ頓狂に驚いてくれた。

 はい。一応普通の日本人も、漢字は使うのです。

  • 出演:李心艾(リ・シンアイ)

    1990年中国・西安生まれ。金融の勉強をしていたが、昨年から女優、モデル業を始めた。台湾とも行き来し、雑誌『vivi』台湾版の専属モデルもつとめる。父親は警察官。母親は漢方医。

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクションが多い。『キティの涙』(集英社)の台湾版は『KITTY的眼涙』(布克文化)の書名で現在ベストセラー中。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

  • コーディネーター:木山善豪

    アジアエンタテイメントのコンサルティングを核とし、中国語圏のエンタメビジネス全般のサポートを手がける。台湾と日本の血統を合わせもつスタッフで構成された組織で、両国での幅広いネットワークとバランス感覚をもつ。
    [OFFICE303] ENTERTAINMENT&MODEL http://www.office303.jp/

取材協力:
エバー航空 http://www.evaair.com/html/b2c/japanese/
「ハローキティジェットが羽田~台北にも登場!」

台北馥華商旅(FORWARD HOTEL) http://www.imvr.net/hotel/fwhotelsj/

ギア・ハウス、ギア・サポート(東京) http://www.gearhouse.co.jp/

撮影:萩庭桂太