李心艾は来年7月から中国、香港、韓国でオンエアされる『恋愛南瓜車』というドラマの撮影中だ。日本人もゲスト出演しているので、日本でも放映されるかもしれないとのこと。

 監督は映画『猟奇的な彼女』などで知られる韓国人のクァク・ジェヨン。中国と韓国、いや日本以外のアジア全域のエンタテインメント交流は日本人が思っている以上に進んでいるのである。

「今年の10月からは初主演ドラマの撮影も始まります。芸能の活動は友達の紹介から始まったのですが、とても楽しいです」

 台湾と行き来し始めたのもここ1年くらいだという。マネージャー代わりのOTISさんが教えてくれた。

「台湾と中国では仕事のやり方、人との付き合い方が全く違います。中国は芸能界が立ち上がったばかり。いろんな人たちがひしめきあって、競争が激しい。主に動いているのは台湾人です。台湾の人たちはすでに多くの国と交流しているので情報が多い。タレントをつくるという意味で経験も多く、上手。中国が勝っているのは子どもの頃から芸術学校に通っていて、演技を勉強した役者が多いということでしょう」

 台湾は中国語という共通の言語をもつという強みもある。しかし韓国のクリエイターとも実にうまく組んで作品を作っている印象もある。

 問題は言語ではないのではなかろうか。組織ややり方にこだわって、コミュニケーションが取りづらくなっていることなのではないだろうか。

 憧れられていたはずの日本が、気がつけば蚊帳の外、ということになりはしないか。

 杞憂とは思いつつ、ふとそんなことが頭をよぎる。

  • 出演:李心艾(リ・シンアイ)

    1990年中国・西安生まれ。金融の勉強をしていたが、昨年から女優、モデル業を始めた。台湾とも行き来し、雑誌『vivi』台湾版の専属モデルもつとめる。父親は警察官。母親は漢方医。

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクションが多い。『キティの涙』(集英社)の台湾版は『KITTY的眼涙』(布克文化)の書名で現在ベストセラー中。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

  • コーディネーター:木山善豪

    アジアエンタテイメントのコンサルティングを核とし、中国語圏のエンタメビジネス全般のサポートを手がける。台湾と日本の血統を合わせもつスタッフで構成された組織で、両国での幅広いネットワークとバランス感覚をもつ。
    [OFFICE303] ENTERTAINMENT&MODEL http://www.office303.jp/

取材協力:
エバー航空 http://www.evaair.com/html/b2c/japanese/
「ハローキティジェットが羽田~台北にも登場!」

台北馥華商旅(FORWARD HOTEL) http://www.imvr.net/hotel/fwhotelsj/

ギア・ハウス、ギア・サポート(東京) http://www.gearhouse.co.jp/

撮影:萩庭桂太