イヌのために建てた家
RINA
- Magazine ID: 1589
- Posted: 2012.05.15
まずはRINAの事務所の社長、楠野恵子さんのお宅にお邪魔することになった。公園がいくつもある、杉並区ののどかな住宅地。
「いらっしゃーい」
RINAと彼女の愛犬、BOBBYが出迎えてくれる。月曜日のトップページにアップされている4歳のビーグル犬だ。
と、同じくらいの大きさの中型犬がどどどっと走ってきた。
「KONA!シッ!(=吠えるな、わたしたちのゲストだ!の意味)」
真っ黒のがわんわん突っかかってくる。特にカメラをぶら下げた萩庭桂太はかなりの不審人物だ。
「オレ、昔はどんな犬でも大丈夫だったのに、最近はダメな犬もいるなあ。心が汚れたのかなあ」
「そうですよ」というわけにもいかないので笑ってごまかし、イヌたちの後ろについて私たちは楠野さんのお宅に上がり込んだ。1階はイヌの遊び場。四方に砂利が敷かれ、雨の日にはイヌたちがそこで用も足せるようになっている。2階は広々したリビングダイニングだが、2面はベランダになっていて、陽が燦々と入り込み、風が抜けて、屋内という感じがしない。
「うちの夫婦は子どももいないし、完全にイヌ仕様で家を建てたんです。だから私たちが犬小屋に住んでいるようなものね」
と楠野さん。
なるほどこれだけ吹き抜ければ、動物の匂いもしない。イヌもストレスがないからだろうか、部屋のなかではすでにおとなしくなり、日だまりを見つけてはてろんと横になったり、ガラスのテーブルに顎を乗せていたりするのもいる。
「最初にうちに来たのはpoo。11年前、西表島で捨てられていたの。当時うちにいたラブラドールのモモコさんを連れていったのだけれど、ホテルを出ようとするとこのコが出てきて車を止めるのね。『私を連れて帰って』って感じで愛嬌を振りまくのよ。そのときは8キロもなくて、目は飛び出てるわ、栄養失調で歯はガタガタだわ。それで帰りは2匹になって帰ってきたの」
琉球犬の血が入っているpooは、顔はオオカミやキツネのように野生っぽい。
「実は医者に末期がんだと言われてとっくに死んでいるはずなのに、他のイヌが来てからすっかり元気になって普通に生きてるのよ」
何匹かで飼うことの意味、というのはあるのだろうなと思う。捨てられたことのあるイヌだからなおさらなのだろうか。楠野さんの他のイヌたちも、捨てられて保護されたイヌだった。
(取材・文:森 綾)
-
出演:RINA
ブラジル生まれ。イタリア系ブラジル人の母親と日本人の父親の間に生まれる。身長172センチで股下90センチというプロポーションをもち、多くの女性ファッション誌やCMでモデルとして活躍中。
http://www.rinafujita.com/ -
取材・文:森 綾
1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクション『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)など多数。
http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810
撮影協力&里親お問い合わせ:わんずぺ~す http://www.wanspace.jp/
撮影:萩庭桂太