私はELLESにあまりにつまらないことを聞いてみたくなった。

「あの~、子どもの頃、のぼり棒は得意だったんですか」

 運動神経がどこか壊れている私はあの棒が大嫌いだった。こんなことをして、大人になってなんの役に立つんだろうと思っていた。しかしである。X&Oはその華麗な発展系だ。

 彼女は笑って答えてくれた。

「いや、のぼり棒は得意じゃなかったですよ。最初はポールを触ると痛くて。練習するうちに手にマメができて、化粧水つけるとき、顔が痛いんですよ。男性と手をつなぐのも恥ずかしくて」

 その恥じらいと露出度の高い衣装とのギャップが微笑ましく思えた。

「普段はキッズのヒップホップのインストラクターをしています。子どもたちは私がポールをやっているのは知りません」

 親は「高くて危ないけど、すごいねー」と、パフォーマンスを観に来て感動してくれた。

「確かに危険です。でも危険になればなるほど、達成感は大きい。人に感動を与えられることは何より幸せです」。

 彼氏はどう言ってるんですか、と尋ねると、また恥ずかしそうな表情になった。

「……手のひらのマメは気にしない人です」。

  • 出演:X&O

    2011年結成。EMIJAY、ELLES、RiE、PINOKOの4人を中心としたガールズパフォーマンス集団。エアリアルシルク、ポールダンス、バトントワリングなど、様々なジャンルを取り入れたアクロバティックなステージングでオーディエンスを魅了する。現在、アーティストのバックダンス、ミュージックビデオへの出演、クラブイベントなど数々のステージで活動するほか、日本・台湾同時デビューも決まり、その活動の場をアジアから世界へと広げていく。
    X&Oオフィシャルブログ http://ameblo.jp/xando-pro/

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクションが多い。『キティの涙』(集英社)の台湾版は『KITTY的眼涙』(布克文化)の書名で現在ベストセラー中。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影協力:
リストラッツィオーネ レ・ジーア http://www.le-ga.jp/
MUSIC×RESTAURANT TIME512 http://www.time512.com/

撮影:萩庭桂太