ポールダンスと聞いて映画『ムーラン・ルージュ』とか、要するにストリップを想像してしまったのは、私だけではないと思う。

 始まりは1920年代ともそれ以前とも言われている。現在進行形のポールダンスは、天井から床までのポールを使った新体操のようなパフォーマンスが基本の純粋なエンタテインメントだ。たとえば「シルク・ドゥ・ソレイユ」で演じられるような大掛かりなものも、ポールダンスなのだという。

 どうやらダンス文化が浸透して小学校の授業にまでなろうという日本でも、ポールダンスはダンスの進化系として流行の兆しが見えている。六本木や赤坂あたりでも「ポールダンス教室」のポスターを見るくらいである。

 まずは彼女たちに実際に演じて見せてもらうことになった。

 場所は六本木のリストラッツィオーネ レ・ジーアというゴージャスなレストラン。ワインセラーを覗くと4大シャトーなんぞも並び、お料理も美味しそう。数は少なくなったとは思うが、外資証券会社の億万プレーヤーが遊びに来そうな雰囲気である(単なる想像ですが)。

 ここで行われているイベントでもダンスショーがあり、X&Oのメンバーも出演しているという。

 さて、まずはお着替え。

 現れた衣装は派手なコルセットに腰から下はチュチュ。お店のマネージャーも、なぜか電気工事の人もいたのに、彼女たちはあっけらかんと下着姿になってウロウロし始めた。萩庭桂太は撮影でそんなシーンも多々経験しているからだろうか、自分の存在を自然に消している。

 彼女たちのマネージャー男性も慣れたもので、舞妓さんのお世話をする男衆のように、コルセットをぎゅーぎゅーしめている。

 可哀想なのはまったく偶然に居合わせた電気工事の人だった。必死に見まいとするが、ついつい目線がその光景に吸い込まれてしまう。いかんいかん仕事をせねば、でもでも気になる……、彼らの心の葛藤がひしひしと伝わってきた。

  • 出演:X&O

    2011年結成。EMIJAY、ELLES、RiE、PINOKOの4人を中心としたガールズパフォーマンス集団。エアリアルシルク、ポールダンス、バトントワリングなど、様々なジャンルを取り入れたアクロバティックなステージングでオーディエンスを魅了する。現在、アーティストのバックダンス、ミュージックビデオへの出演、クラブイベントなど数々のステージで活動するほか、日本・台湾同時デビューも決まり、その活動の場をアジアから世界へと広げていく。
    X&Oオフィシャルブログ http://ameblo.jp/xando-pro/

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクションが多い。『キティの涙』(集英社)の台湾版は『KITTY的眼涙』(布克文化)の書名で現在ベストセラー中。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影協力:
リストラッツィオーネ レ・ジーア http://www.le-ga.jp/
MUSIC×RESTAURANT TIME512 http://www.time512.com/

撮影:萩庭桂太