「高校生の時は、料理がやめられなくなりました」

 料理ってやめられなくなるものなのだろうか?

「はい。料理研究家の丸元淑生さんの本に出会ってしまって。学校へも行かず、友達と一緒に毎日、朝から晩まで料理をしていました。これからは健康が大切だよね! と。丸元先生の本は健康的な食生活について書かれているんです」

 山中の実家は群馬県の桐生だが、通っていた音楽系の高校が東京だったので、1人暮らしをしていたのだ。

 この人に自由を与えると何かが起きる。

「朝は築地まで買い出しに行って、その帰り、ラッシュアワーの地下鉄の中で、生きた車エビがオガ屑の中から何匹も飛び出して、仕事に出かける人たちに迷惑をかけたこともありました。大ヒンシュクです。一緒に料理をしていたお友達は丸元先生が勧めるスウェーデン製のすごく高価な冷蔵庫まで買いました」

 学校へはどのくらい行かなかったのだろう?

「1学期間は行きませんでした。やがて、学校から桐生の家に連絡が行って、親が怒ってやってきた。でも、今思うと、先生も親もよく1学期間も放置していましたよね」

『ビコーズ』 2012.07.18発売

【左】初回限定盤 SHM-CD(+DVD) 3,500円(税込)UCCJ-9126
【中央】初回限定盤 SA-CD ~SHM仕様~ 4,500円(税込) UCGJ-9004
【右】通常版 SHM-CD 3,059円(税込) UCCJ-2102
http://www.universal-music.co.jp/chihiro-yamanaka/

  • 出演:山中千尋

    福島県生まれ、群馬県育ち。ジャズ・ピアニストで作曲家でアレンジャーでプロデューサー。米ボストンのバークリー音楽大学を首席で卒業し、アルバム『リヴィング・ウィズアウト・フライデイ』でデビュー。『アピス』『レミニセンス』などのアルバムを発表。7月18日に、「イエスタデイ」「ミッシェル」「ユア・マザー・シュッド・ノウ」などビートルズのカヴァーにオリジナルの「インサイト・フォーサイト」「イット・ワズ・ア・ビューティフル・ミニット・オブ・マイ・ライフ」を加えた10曲(通常盤/SACD~SHM仕様~盤はボーナストラック入りで11曲)を収録した『ビコーズ』をリリース(ユニバーサル ミュージック)。7月28日(金)に神奈川県の葉山マリーナで開催される「真夏の夜のJAZZ」に出演。9月7日からはジャパン・ツアーがスタート。

    山中千尋 オフィシャルサイト http://www.chihiroyamanaka.com/
    山中千尋 公式twitter https://twitter.com/#!/ChihiroYamanaka
    真夏の夜のJAZZ in HAYAMA 2012 http://microsites.universal-music.co.jp/event/jazz2012/

  • 取材・文:神舘和典

    1962年東京都出身。音楽を中心に書籍や雑誌のコラムを執筆。ミュージシャンのインタビューは年間約70本。コンサート取材は年間約80本。1998年~2000年はニューヨークを拠点にその当時生きていたジャズミュージシャンのほとんどにインタビューを行った。『ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)、『25人の偉大なジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)、『上原ひろみ サマーレインの彼方』(幻冬舎文庫)など著書多数。

    新潮新書 http://www.shinchosha.co.jp/writer/1456/
    幻冬舎新書 http://www.gentosha.co.jp/book/b4920.html

撮影:萩庭桂太