しかしここへ来て、プロのモデルが注目されてきた。

 私服のセンスやライフスタイルを見せるという、読モがやってきたことを、プロのモデルがやればさらに映えるということがわかったのだろう。

 あるいは不況で物を買うことが減り、私服や私物を雑誌で見せるということに行き詰まりが出始めたというのもあると思う。毎回、高級なものを「見せつけられる」ことへの読者のやっかみや妬みが増大したのかもしれない。

「私にもできそう」というリアルよりも、ちょっぴり夢見がちな感じを好む世代が大人になったということもある。

 しかし、プロのモデルはそれなりの勉強と鍛錬、何よりも資質が必要だ。洋服を着て見せられる体。技。ちょっとやそっとじゃやっていけない世界である。

 どのくらいいるのかな、プロのモデルになりたい人って。

 同じような疑問を萩庭桂太ももっていたらしい。

「この間、ある雑誌に頼まれて、モデルになりたい女の子のオーディションの審査員をしたんだ。そこで選ばれたのが伊藤ニーナなんだよ」

 え、萩庭桂太が審査員?

 私はそんな無謀な人選をする編集部に訝りながら、伊藤ニーナに会いに行ったのであった。

  • 出演:伊藤ニーナ

    1992年福岡県生まれ。2011年に「GINGERスターオーディション モデル部門」でグランプリを受賞。専属モデルとして活躍中。T168 B81 W58 H88 (株)テンカラット所属。

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクションが多い。『キティの涙』(集英社)の台湾版は『KITTY的眼涙』(布克文化)の書名で現在ベストセラー中。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

衣装協力:アバハウスインターナショナル
撮影:萩庭桂太