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 塩原さんは彼女を叱咤激励していたが、けっして目の前でほめることはなかった。しかし、後日、こんなコメントを寄せた。

「今回、小松美羽が写真展で発表した作品についてコメントします。以前は心に浮かんだモノを詰め込み過ぎて画面が窮屈でしたが、ニューヨーク後の彼女は描くモノやコトの重要性または優先度が整理されたかの様に思えました。

 それは余白の部分が単なる書き残しではなく、描いたのと同様な効果が少しづつ見え出したからです。とはいえ、才能ある人物がさらなる努力を続けること、技術、表現力、洞察力、コンセプトにおいて際立つ力量を身に付ける事を彼女に期待します。ホームゲームとしての版画で、構成まで含めて彼女と話し合えるようになったとき、展覧会も考えてみたいですね」

(取材・文:森 綾)

  • 出演:小松美羽

    1984年11月29日、長野県生まれ。趣味は狛犬研究、漫画や小説の創作、なぎなた(北信越3位)、水泳と幅広い。女子美術大学短期大学部卒。2004年度 女子美術大学 優秀作品賞、日本版画協会版画展 入選。2012年 小松美羽作品展「画家の原点回帰 ~ウガンダ~」(オリンパスギャラリー東京・大阪)
    http://www.miwa-komatsu.com

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクション『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)など多数。映画『音楽人』(主演・桐谷美玲、佐野和眞)の原作となったケータイ小説『音楽人1988』も執筆するほか、現在ヒット中の『ボーダーを着る女は95%モテない』(著者ゲッターズ飯田、マガジンハウス)など構成した有名人本の発売部数は累計100万部以上。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影協力:
日動コンテンポラリーアートギャラリー http://www.nca-g.com
オリンパスギャラリー東京 http://olympus-imaging.jp/event_campaign/olympusplaza/
撮影:萩庭桂太