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 アーティストというのは、実にうれしそうに自分を語る。そしてそれよりもっとうれしそうに自らの作品を語る。小松美羽もそうだった。

「うちの実家は妊婦さんの胎内を見るエコーのヘッドの部分をつくっているんです。だから物心ついたときから、まだ生まれていない生命を見るということに興味がありました。機械が近くにあったから、素直に興味をもてたんです。命の誕生という幸せを見られる機械ですもんね。あ、そのことに不幸を見る人もいるかもしれませんけど」

 自らも「大事なことは、いかに優良な精子を胎内に入れられるか」だと豪語する。

「恋愛とかはね、よくないです。大声で語れる自慢などまったくないですね。疲れるし、自分のペースを乱されますしね。合わせてしまったりするんですよね、私も。それで4カ月くらい耐えたんだけど、最後にプレステ3を渡して『これで時間を潰して』と別れたことがありました。よく耐えたと思います、私。だからもう、優良な子どもを授かるだけでいいです。40歳くらいで一人産み落としたい」

 優良な精子と芸術家の卵子。どう育てますかね。

「優秀な女の子を産みましてね、国際弁護士に育てあげ、私を守ってほしいんです」

 どこまでが本気かわからなくなるが、全部本気なのかもしれないとも思った。

 その部屋は、描くことの本気に満ちていたから。

(取材・文:森 綾)

  • 出演:小松美羽

    1984年11月29日、長野県生まれ。趣味は狛犬研究、漫画や小説の創作、なぎなた(北信越3位)、水泳と幅広い。女子美術大学短期大学部卒。2004年度 女子美術大学 優秀作品賞、日本版画協会版画展 入選。2012年 小松美羽作品展「画家の原点回帰 ~ウガンダ~」(オリンパスギャラリー東京・大阪)
    http://www.miwa-komatsu.com

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクション『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)など多数。映画『音楽人』(主演・桐谷美玲、佐野和眞)の原作となったケータイ小説『音楽人1988』も執筆するほか、現在ヒット中の『ボーダーを着る女は95%モテない』(著者ゲッターズ飯田、マガジンハウス)など構成した有名人本の発売部数は累計100万部以上。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太