アーティストには支援者が必要だ。小松美羽にとって重要な支援者が、アート・オフィス・シオバラ、日動コンテンポラリーアート代表の塩原将志さんだ。日動コンテンポラリーアートは、日動画廊の現代アート部門。かの名門画廊は、彼女をどう評価するのか。

 我々は小松美羽と一緒に彼に会いに行った。

 塩原さんは彼女をニューヨークのアーティストたちに会わせてくれた恩人だという。

「ヴィック・ムニーズのブルックリンのスタジオを尋ねたんです」

 彼の折り鶴の作品の前で、小松美羽はそれまでに見せたことのない、緊張と興奮に満ちた表情を浮かべて、固まった。

「ニューヨークで暮らしてみたいと思いました。だから今、起きたらまず、毎日英語のドリルをやっているんです。英語をマスターするためにフィリピンに行こうとも計画しています」

 塩原さんはニューヨークの様々なタイプのアーティストの姿を彼女に見せようとしたという。そして、何億円という大金で作品が売れていくトップギャラリーをいくつも見せた。オークションにも連れていった。

「自分の作品がどこに所属したいのかを、わからせたかったんです」

 彼女に自分の作品を客観視させること。俯瞰で作品を見るための場所としての、ニューヨークだった。

(取材・文:森 綾)

【後編】 塩原さんが語る、ニューヨーク後の彼女

  • 出演:小松美羽

    1984年11月29日、長野県生まれ。趣味は狛犬研究、漫画や小説の創作、なぎなた(北信越3位)、水泳と幅広い。女子美術大学短期大学部卒。2004年度 女子美術大学 優秀作品賞、日本版画協会版画展 入選。2012年 小松美羽作品展「画家の原点回帰 ~ウガンダ~」(オリンパスギャラリー東京・大阪)
    http://www.miwa-komatsu.com

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクション『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)など多数。映画『音楽人』(主演・桐谷美玲、佐野和眞)の原作となったケータイ小説『音楽人1988』も執筆するほか、現在ヒット中の『ボーダーを着る女は95%モテない』(著者ゲッターズ飯田、マガジンハウス)など構成した有名人本の発売部数は累計100万部以上。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影協力:
日動コンテンポラリーアートギャラリー http://www.nca-g.com
オリンパスギャラリー東京 http://olympus-imaging.jp/event_campaign/olympusplaza/
撮影:萩庭桂太