成熟した落ち着いた考えがビビアン・クオの底にある。

――20代で人生観をきちんと持っているって、すごいですね。

 親の影響だと思います。昔から仏教的な考えをよく聞かされました。それにいろんな国に住んで、いろんな人と出会ったので、その人たちとの話や経験から人生について心に響くことをたくさん学ぶことができました。

――一番大事なことはどういうことですか。

 無我。みぞおちに小さく0分の1、というタトゥーを入れています。どういう意味かというと、10分の1は0.1、100分の1は0.01… と、アンサーはどんどん小さくなります。分母が大きくなるほどアンサーが小さくなる。つまり分母は自分です。自分が少ないほど、可能性は無限になり、自由になれるということです。自分のプライドとかよけいなことはいらないんです。

――(全員沈黙)あの、こんな日本で、そんな気持ちでいて、生きづらくないですか。

 いいえ。日本は好きです。0分の1は、そういう方向を向いていたいという意味です。そんなことをできる人はいないし、完全にそうなりたいわけではないです。

――日本の男性を見ていて、どう思いますか。

 日本人の男性は集団で仕事をしても、人と合わせるのがうまいなあと思います。そういうところを見ていても、日本人の男性の細やかさは素敵だと思うんです。でもたまには休んでくださいね。

 ガンジス川のほとりに突如現れた美しい仏様の言葉をいただいたような気分で、我々は彼女を見送った。

 癒し系美女ならぬ救い系美女。ビビアン・クオはやっぱりある意味、ジャンヌ・ダルクだったのである。

(取材・文 森 綾)

Dress:THOMAS WYLDE/M inc
Necklace:SAMANTHA WILLS/JACK OF ALL TRADE

  • 出演:ビビアン・クオ

    1988年9月29日台湾生まれ。H169 B81 W60 H89。モデルとしては「In Red」などの日本の雑誌のほか、「FUNSWANT」など台湾の雑誌でも活躍。CFはNOTTV、JR東日本はさぶさ、SONY PS vita、ユニクロ、東芝25th anniversary Notebook(アジア盤)などに出演。
    Model Agency Friday http://www.fridayfarm.net

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクション『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)など多数。
    映画『音楽人』(主演・桐谷美玲、佐野和眞)の原作となったケータイ小説『音楽人1988』も執筆するほか、現在ヒット中の『ボーダーを着る女は95%モテない』(著者ゲッターズ飯田、マガジンハウス)など構成した有名人本の発売部数は累計100万部以上。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

  • ヘア:Koji Ichikawa

    http://www.kojiichikawa.com
    SEPT(office) http://www.office-sept.com

  • メイク:Sakamoto Yoshiko (坂本よし子)

    http://www.akamg.com/sakamotoyoshiko.html
    A.K.A(office) http://www.akamg.com

衣装協力:
JACK OF ALL TRADE http://jackofalltrades.jp/v2/
M inc http://www.mincnim.com

撮影:萩庭桂太