今週のYEOに登場するのは、このキレイなお姉さん。ダンサー界隈ではキャリア十分、有名な方らしい。不勉強で存じ上げませんでした、ごめんなさい。失礼ついでに、のっけから素朴な質問をしてみた。コンテンポラリーダンスって、なんですか?
「それ、一番答えるのが難しい質問です(笑)。踊り手によって意味合いが違うと思うんです。私なりにあえて言葉にするとしたら、あらゆるダンスジャンルの融合であり、自由でかつ、その人の内側から出る表現、というところでしょうか」
 ネットで調べたら、『1980年代、フランスで誕生した舞踊。クラシックバレエやジャズダンス、フラメンコなど既製のジャンルに属さないダンス』という説明もあった。うーむ、よくわからない。
「バレエ出身の方もいれば、ヒップホップ出身の方、舞踏から来る人もいれば、役者さんから来る人もいます。多種多様な人たちが、あらゆるダンスの要素を取り入れて、人間の感情や自然の情景などを肉体を通して表現する、創作舞踊。100人いたら100通りのダンスがあって、その人の個性を活かして表現することができます。」
 ん、なんかちょっと、わかったような気がする。
 彼女のダンスの始まりは、モダンバレエ。
「幼稚園の友達がモダンバレエをやっていて、発表会を見に行ったのをきっかけに、近所のスタジオに通い始めました」
 小学校1年から通い始めて、3年生からは全国コンクールにソロで出場したという。いきなりの、ロケットスタート。
「秋田県出身なのですが、秋田ってモダンバレエが盛んなんです。今でこそ全国のいろんなところにコンクールがありますけど、私が子どもの頃は〈東京・埼玉・秋田〉がモダンでは日本で歴史のある三大コンクールでした。地元のスタジオからも毎年十数人が出ていて、みんなで切磋琢磨できる環境でした」
 全国コンクールの初回から入選、入賞、2位、1位と上がっていって、中学生のときには二連覇を記録。その後、シニア部門でも優勝している。
「当時は今みたいにYouTubeで世界中の上手な人を見れる訳でもなく。年に1度、コンクールの際に全国から来た人たちの踊りを見ることができるのですが、その衝撃がすごかった。上位の人たちはこんなふうに足を上げていた、こういうふうにターンしていたって、目撃したその感動を持ち帰って、次のコンクールまで家でもスタジオでもひたすらくり返し練習していました。ゴミ箱にものを捨てるときにも足を上げたり、トイレの狭い壁と壁の間を使って開脚したり。何をやるにもあの頃は、踊っていたような気がします」
とはいえ、将来ダンサーになろう、とは思っていなかったという。
「高校が進学校ということもあり、東京の大学に行って就職しよう、と。ところが大学で上京後、コンクールで私の名前を覚えていてくださった先生方から舞台出演のお誘いをいただいたりして。そこで一生懸命舞台に向き合っているうちに、ご縁が広がっていって。いつのまにか、普通の就職活動を意識する機会もなく、プロのダンサーとして舞台に明け暮れる毎日になっていました」
 そんなつもりじゃなかったのに、気がつけばここにいる。今週のYEOは金曜日まで連日更新。池田美佳が今に至るまでの話を、じっくりざっくり、聞いてみた。話は意外な方向に進む、かも!

  • 出演 :池田美佳 いけだ みか

    コンテンポラリーダンサー、舞踊家、振付家。
    秋田県出身。1984年生まれ。7歳でモダンダンスのスタジオに通い始め、みるみる頭角を
    現し、各地の全国コンクールで第1位を4回受賞。明治大学で演劇学を学び、在学中から
    ダンサーとして活躍。08年度現代舞踊協会新人賞受賞。2010年、平成22年度秋田県芸術選奨など受賞多数。以来、コンテンポラリーダンサー、モデル、女優として国内外の舞台や
    映像作品に出演。
     

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    取材/文:岡本麻佑

    フリーライター歴30余年。女性誌、一般誌、新聞などで活動。俳優・タレント・アイドル・ミュージシャン・アーティスト・文化人から政治家まで幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。単行本、新書なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/