数年前から日本で本格的に活動を始めたソン・シギョン。韓国を代表する歌手、そしてシンガー・ソングライターなのだけど、日本ではその実績に見合う活動は、できずにいた。
「すごく良いアルバム作ったのに、握手会しか仕事がなかった(笑)。僕のことを知らない人の前に立たせてください、歌わせてくださいとお願いしても、郊外のショッピングモールで歌ったくらいで(笑)。韓国の僕のマネジャーがそれを見て、泣いたんですよ。なんでやるんですか? って聞かれました」
 そう、なんでやるんですか?
「だって楽しいじゃん(笑)。
 正直、僕は韓国で有名です。ありとあらゆる賞をいただいたし、ステイタスもある、評価されている。でも日本では、誰も僕のこと知りません。だからこそ、これからやれることがたくさんある。
 それに今、韓国のエンタテイメントはK-POPだけだと思われていますよね。僕は何年間かゴールデンディスク受賞式のMCをやっているんですけど、そこに出てくるアイドルたちは僕に先輩、先輩って挨拶してくれるけど、果たして僕は、本当に彼らの先輩なのだろうか? 同じ職業なのか? 海外で5万人集めてキャーキャー言われている彼らのように、僕も海外に飛び出すべきじゃないか。アイドルだけじゃない、こういう歌を歌うアーティストも韓国にはいるんだって、伝えたい。そんなことを思って今、日本にいるわけです」
 今年は日本でのコンサートを予定しているし、アルバムも制作中。キングレコードに移籍して気分一新、活動を再開する。今ならネットで昨年11月に発売された新譜『こんなに君を』を聴けるから、ちょっと聴いてみてほしい。彼のバラードは、絶品だ。
「ロックだって歌うしリズム感のある曲も好きだけど、バラードを歌うときが一番、自分にしっくりきます。歌うときは、役者が台本をもらって演じるのと似ているんです。4分間のドラマを演じるように、自分が主役になって、聴いてくれる人をその世界の中に導いていく。歌い終わると、またソン・シギョンに戻ります。バラードは難しいけど、でも、歌っていて、幸せです」
 音楽の主戦場がネットになって、テレビから歌番組が消え、たまに聞こえてくるのはカラオケの昭和歌謡ばかり。世代を超えて流行する楽曲はなかなか登場せず、大人世代の私たちは今、心地良い音に飢えている。ソン・シギョンの歌はそんな私たちの胸の奥に、届こうとしている。

  • 出演 :ソン・シギョン

    韓国を代表するシンガー・ソングライター。2000年に韓国でデビュー、大ヒット韓国ドラマ『シークレット・ガーデン』『星から来たあなた』『雲が描いた月明り』『青い海の伝説』などのOSTを自作・歌唱。また歌手活動だけでなくMC、DJなど多方面で活躍。2017年日本デビュー。2018年~2019年NHKEテレ『ハングル講座』にレギュラー出演。日本語は独学で検定一級を取得し、『しゃべくり007』『有吉反省会』などバラエティ番組に出演したときも通訳不要、流暢な日本語で番組を盛り上げた。

     

    日本公式FC HP(サイト内にX とYouTubeのリンクあり) 

     https://ssk-purpleocean.jp/
    【ツアー情報】
    SUNG SI KYUNG LIVE TOUR 2024
    【福岡】4月9日(火) Zepp Fukuoka           
    【広島】4月11日(木) BLUE LIVE HIROSHIMA                        
    【大阪】4月12日(金) なんばHatch                
    【京都】4月14日(日) KBSホール                  
    【東京】4月16日(火)、17日(水) チームスマイル・豊洲PIT    
    【名古屋】4月18日(木) Zepp Nagoya  

    【アルバム紹介】
    『こんなに君を』2023年11月22日リリース
    PSY作曲・松井五郎作詞の珠玉のバラード『こんなに君を』など全6曲。
    https://www.kingrecords.co.jp/cs/artist/artist.aspx?artist=46537

  •  

    取材/文:岡本麻佑

    フリーライター歴30余年。女性誌、一般誌、新聞などで活動。俳優・タレント・アイドル・ミュージシャン・アーティスト・文化人から政治家まで幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。単行本、新書なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/