1 バラードの皇帝、日本降臨
ソン・シギョン
- Magazine ID: 4131
- Posted: 2024.02.12
1月21日、都内某所で極秘イベントが行われた。極秘といっても、応募した中から抽選で昼の部夜の部、それぞれ約100名が詰めかけたから、ちっとも極秘じゃないのだけれど。コージーな空間に大人女子が詰めかけて、ワクワクドキドキの濃密な気配が充満していて、なんかちょっと特別で、ミステリアスな空気。
定刻にソン・シギョンがステージに現れると、ため息と歓声と拍手が入り交じって、会場の空気は一気に盛り上がった。
「ええと、今日はなんだかプレミアムなイベントですね。デビューして24年経ちますけど、新人の頃にもキャパが100名という小さな会場ではやったこと、ないです(笑)。でも、広くても狭くても、歌うのは一緒です。皆さんと近いから、歌いやすいかもしれない。今日は楽しくやっていきましょう!」
流暢な日本語。ていうか、そこらの日本人よりも滑舌がよくてボキャブラリー豊富でウィットに富んでいて、一気に観客を和ませる。
そして、その歌! 声が良い。耳から入ってそのまま、胸の奥までつーっと届いてくる。なんでも韓国では〈鼓膜彼氏〉の異名を持っているとか。
しかも、歌唱力抜群。メロディとリズムがあっという間にその世界を構築して、その中に引きこまれていく。揺さぶられる。さすが、もうひとつの異名〈バラードの皇帝〉と呼ばれるだけのことはある。
歌の合間のトークがまた、絶品。会場から集めた質問に、テンポ良く答えていく。前日にいきつけの銭湯に行ったエピソードには、ファン全員が大喜びしていた。
ソン・シギョンは、韓国では知らない人がいない、シンガー・ソングライター。プロフィールには、『アルバム・セールスは計200万枚以上、毎年恒例のコンサートシリーズ〈祝歌〉は8000席規模の延世大野外劇場で行われ、数分でソールドアウト』と書いてある。大ヒット韓国ドラマのOST(Original Sound Track)を何曲も作って歌って、国外でもたくさんのファンの心をわしづかみにしたらしい。
さらに『歌手活動のみにとどまらずMC、DJ、タレントなど多能エンターテイナーとして活躍中!』とある。ネットで調べたら、何千ものファンの前、大きなステージでまばゆいライトを浴びて歌う姿が、次々と出てきた。昨年末に開いたコンサートも、大成功を収めている。
このギャップはなに? 韓国ではレジェンドクラスのアーティストの彼がどうして今、日本で小さなステージで熱唱しているの? なんだか、豪華に咲き誇った大輪の花を、ありあわせの小さな花瓶に活けてしまったような。美しさに変わりはないけれど、もったいない。そして、歯痒い。
イベントのステージで、彼はこんなふうに語っている。
「数年前に日本でデビューしたんですが、僕が思い描いたようには、仕事ができなかった。今ならわかります、当たり前です。それが日本のやり方。一気にすごいことをやらせてもらえるわけじゃない。だから僕もちょっと、考え方を変えました。焦らずに。急ぎますけど焦らずに、良い曲を作って歌うしかない。ですからゆっくり、見守ってください」
今週のYEOの主人公は、このソン・シギョン。インタビューの冒頭、彼はこう言った。
「日本では僕のこと、誰も知らないから。ただの太った大男だからね(笑)。僕のことを紹介してくれるなら、最初から話す必要がある。どうぞ、イチから聞いてください」
もちろん通訳なしで、じっくりインタビューを1時間15分。真摯に答えてくれた。
今週金曜日まで連日更新。韓国歌謡界のレジェンドが、YEOに降臨だ!
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出演 :ソン・シギョン
韓国を代表するシンガー・ソングライター。2000年に韓国でデビュー、大ヒット韓国ドラマ『シークレット・ガーデン』『星から来たあなた』『雲が描いた月明り』『青い海の伝説』などのOSTを自作・歌唱。また歌手活動だけでなくMC、DJなど多方面で活躍。2017年日本デビュー。2018年~2019年NHKEテレ『ハングル講座』にレギュラー出演。日本語は独学で検定一級を取得し、『しゃべくり007』『有吉反省会』などバラエティ番組に出演したときも通訳不要、流暢な日本語で番組を盛り上げた。
日本公式FC HP(サイト内にX とYouTubeのリンクあり)
https://ssk-purpleocean.jp/
【ツアー情報】
SUNG SI KYUNG LIVE TOUR 2024
【福岡】4月9日(火) Zepp Fukuoka
【広島】4月11日(木) BLUE LIVE HIROSHIMA
【大阪】4月12日(金) なんばHatch
【京都】4月14日(日) KBSホール
【東京】4月16日(火)、17日(水) チームスマイル・豊洲PIT
【名古屋】4月18日(木) Zepp Nagoya【アルバム紹介】
『こんなに君を』2023年11月22日リリース
PSY作曲・松井五郎作詞の珠玉のバラード『こんなに君を』など全6曲。
https://www.kingrecords.co.jp/cs/artist/artist.aspx?artist=46537取材/文:岡本麻佑
フリーライター歴30余年。女性誌、一般誌、新聞などで活動。俳優・タレント・アイドル・ミュージシャン・アーティスト・文化人から政治家まで幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。単行本、新書なども執筆。
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/