今週のヒロインは、Juju。レーシングドライバーだ。
 今年2023年の7月24日、フランスのポール・リカール・サーキットで開催された『ユーロフォーミュラ・オープン』の第4ラウンドのレース1で優勝したばかり。F3カテゴリーのレースで優勝するのは、女性ドライバー史上初の快挙だ。これってかなり、すごいこと。
「おめでとうございます!」と声をかけると、「ありがとうございます!」とにっこり。
「走っていて、手応えを感じていました?」と、ざっくりした質問を投げかけると、一瞬、答えに詰まった。
「あの優勝は、本当にいろんなことが組み合わさって達成できたことなので。優勝の部分だけを話すと、ちょっと内容が薄くなってしまうかな、と」
 うれしい、そうこなくちゃ! せっかくこのYEOに出てくれたのだから、たんなるお祝いコメントの応酬じゃなく、優勝に至るまでの道のりをじっくり話してくれるのは、大歓迎!
 Jujuが車に乗り始めたのは、3歳の誕生日。キッズカートをプレゼントされると、うれしそうに乗り回していたという。みるみる上達して、4歳でレースデビュー。6歳からはレーシングカートの上位クラスでぶっちぎりの常連優勝者となる。(本当は出場規定年齢に届かなかったレースも、実績から特例として出場を認められたとか。)9歳でフォーミュラカーを運転し、10歳のときには現役レーサーと大差ない好タイムを叩き出した。
 実はJujuの父親は、元F1ドライバーの野田英樹。それって、父が娘に夢を託したパターン?
「いやいや、自分がレーサーだったから娘にその夢を託してやらせようとか、そんなことはカケラもなくて。Jujuがいろんなことを経験する中で、自分がやりたいことを見つければいいと思っていました」
 父の野田氏がそう言うと、Jujuも、
「小さい頃から習い事はいっぱいさせてもらって、でも空手は道場の隅の方で寝てましたし、プールに行っても水の中にいるよりジャグジーで寝ているほうが多かったし、唯一続いた体操も、父が見ていて、〝なんか、楽しくなさそうだね〟って(笑)。その中でレースに決めた一番の理由は、レースだけは、負けると悔しいんです。もともと負けず嫌いではあるんですけど、空手もサッカーもチアも水泳も、負けてもあまり悔しいと思わない。でもレースで負けるとすごい悔しいし、悔しいから次、勝てるように頑張ろうと思うし、というくり返しで、どんどんレースにはまりました」
 そして5歳のとき、Juju自身が『プロのレーサーになりたい!』と意思表示。
「本人がそう決めてからは、スタンスが変わりました。頭の中に絵は出来ていました。全力でサポートしています」(英樹氏)
 6歳からレーシングカートの上位クラスに出場しては、多くの優勝タイトルを獲得。9歳でフォーミュラ・カーを運転し、10歳で好タイムを叩き出し、11歳で『フォーミュラU17チャレンジカップ』(F4相当)に初参戦。翌2018年からは同シリーズのF3マシンクラスに転向して、翌2019年までに出場したレース11戦すべてで優勝した。
 Jujuのドライバー人生、ここまでこんなに順調にきて、さて、そこからどうなる? というお話は、金曜日まで連日更新。萩庭氏の撮影も絶好調で、Jujuの撮り下ろしポートレート、必見です!

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Juju公式HP(インスタ等SNS情報あり)→https://juju10.com/

  • 出演 :野田樹潤 のだ じゅじゅ

    レーシングドライバー。2006年2月2日生まれ、東京都出身。F1ドライバーだった野田英樹氏の次女。3歳でキッズカートに乗り始め、4歳でレースデビュー。6歳からレーシングカートの上位クラスで多くの優勝タイトルを獲得。2017年、11歳で本格的にフォーミュラカーのレースに出場することとなり、『フォーミュラU17チャレンジカップ』(F4相当)に初参戦。2018年から同シリーズのF3マシンクラスに転向し、2019年まで出場したレース11戦をすべて優勝で飾った。14歳からは欧州に拠点を移し、『デンマークF4選手権』に参戦。その後もコロナ禍の中、欧米各地で転戦。2023年は3月のZinoX F2000開幕戦など数々の大会でタイトルを獲得。さらに国際F3規格の欧州F3選手権『ユーロフォーミュラ・オープン』に参戦。7月に行われた第4ラウンド、フランスのポール・リカールレース1で初勝利を収め、女性ドライバーとしては史上初めて同シリーズの優勝を飾った。
     

    Juju公式HP(リンク先にインスタ等SNSアイコン情報あり)

     https://juju10.com/

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    取材/文:岡本麻佑

    フリーライター歴30余年。女性誌、一般誌、新聞などで活動。俳優・タレント・アイドル・ミュージシャン・アーティスト・文化人から政治家まで幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。単行本、新書なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/