蒲生麻由はこのYEOに、実は3回目の登場。1度目は2013年2月13日、マラソンに挑戦するモデル『Run Girl』として。2度目は2017年2月13日からの1週間、出産直前の大きなお腹で、萩庭氏のカメラの前に立ってくれた。今回の撮影では、そのとき生まれた5歳の長男を連れて参加。「今からママ、インタビューだから、あっちで待っていてね」と言ったものの、エルマーと遊ぶ長男クンのことが、気になって仕方ない様子。
「撮影に連れてくるの、初めてなんです。1度私が働く現場を見せたかったから、今日はいい機会でした(笑)」
 この時ばかりは、すっかりママの顔。そこまでの道のりはけして平坦ではなかったらしいけど、その話は以前の記事を検索していただくとして。
「プチセブンは14歳から17歳まで。その後『ViVi』という雑誌で、ハタチくらいまでレギュラーモデルをやっていました。でも私、モデルを始めた当初から俳優志望だったんです。二足のわらじもいいけど、どっちも中途半端になりそうなので、ハタチくらいから完全に演技に方向転換しました。当時はモデルから俳優というケースがまだまだ少なかったので、モデルのキャリアは無かったものとして、一から新人として芝居の道に入りました。あの頃はとにかく必死でしたね」
 戦隊ものからスタートして、TVドラマや映画に次々出演。でもモデルと俳優とでは、表現そのものがまったく違うことに、気付かされたという。
「モデルのときは、着せていただく服を素敵に見せる、そのための表情であり、動きでした。でも俳優というのは、装うだけの表面的なものは通用しないんです。ヨロイを全部脱ぎ捨てて、さらけ出す覚悟がないと」
 気付きのきっかけになったのは、共演した大物俳優・舘ひろしさんの言葉。現場でガチガチになっている蒲生麻由に、こんな声をかけてくれた。
「『本番では頑張らなくていい。本番でどう取り繕ったところで、あなたが今までどう生きてきたのか、良いことも悪いことも全部、カメラに映ってしまうんだ。今まで過ごした時間や経験したことが、出そうと思わなくてもでてしまうし、出したくなくても出てしまうんだよ』って。だから『もっとふだんから、人生を楽しめばいい』って(笑)。若かったし、真面目すぎたのかもしれませんけど、『もっと人生を味わって、感じるべきことを感じろ。そして本番では力を抜け』ということでしょうね。それを言われたときに、ああ、そうか、私は逆のことばかりしていたんだって、腑に落ちました」
 同じようなことを、別の人にも言われた。
「何もかもうまくいかない時期があって、そのとき私はロスに住んでいたんですけど、知り合いの女性がこう言ってくれたんです。『Your LIFE will Only GET BETTER!』、これからの人生、良くなるばかりよ、って。
 館さんの言葉も彼女の言葉も、結局、同じことを私に言ってくれているんだと思います。人生いろいろあって、つらいこともあるけれど、そういうのも全部、肥やしになると思うと楽になるし、ちょっと力が抜ける。あれもこれも全部、すべての種になるんだと思ったら、すごく楽になりました。役者として、だけじゃなく、人間として、です。素敵な言葉をいただきました」
 このインタビューの直後に、40代に突入する。間もなく家族と一緒に東京を離れ、海辺の街で暮らし始める予定だとか。
「新たな生活のスタートです。新しいことにもチャレンジする予定です。
子どもが生まれてから、自分の人生で大切なものや価値観が以前とはずいぶん変わってきていますけど、役者の仕事が私の人生にとって大切なものだということは、10代の頃からずっと変わらない。だから続けて行くつもりです。そして今だからこそもう1度、改めて、モデルという仕事もやってみたいと思うようになりました。肩の力を抜けるようになった今なら、ヘアメイクさんやスタイリストさんに全部お任せして〝どうにでもして!〟って全身を投げ出せる(笑)。フラットな気持ちで挑めると思うんです」