YEOの取材は、たいていがぶっつけ本番。予備知識がほとんどない状態でインタビューを決行している。だからこの日、7人の元プチモデルさんたちを取材する大仕事を前に、インタビュアーの私は、まずは呆然。そこに助け船を出してくれたのが、この真理奈だった。事の次第を手際よく説明してくれて、手の空いている人から順番に、私の元に送り込んでくれる。てきぱきてきぱき。マネジメント能力がハンパない。
 プチセブンの専属モデルをやっていたのは、高校1年から3年生まで。でもその前に、『ホットドッグプレス』(講談社)というメンズ雑誌の誌上コンテストで、注目を集めていた。
「そのとき、初めてプロのカメラマンさんに写真を撮っていただいたんですけど、それがなんと、萩庭さんだったんです! 〝これがプロのカメラマンなんだ、すごいなー!〟って、すごく印象に残っていました。しかも、萩庭さんはその誌上コンテストの審査員も務めていたんです。つまり、私の超・原点なんですよ(笑)。私自身はモデルになるとは正直思っていなかったんですけど、もともとすごく洋服が好きでしたし、海外の雑誌の写真を熱心に見ていたような中学生だったので、今思えば興味はあったのかもしれません」
 そのコンテストを機にモデルクラブに所属して、間もなくプチセブンの専属モデルに。週に3~4日は撮影のためにスタジオに通いながら、高校を卒業。と同時に、そのタイミングでプチセブンが休刊になった。
「そこから紆余曲折があったんですけど、ご縁があって講談社の雑誌『with』の専属モデルになりました。でも私、身長がそれほど高いわけではないので、プチセブンのようなティーン誌では問題なかったのですが、大人雑誌だと、ブランド物を着るには背丈がちょっと足りない。それは自覚していたんです。じゃあどうしようかと迷っていたら、当時のマネージャーさんが、『しゃべりもできるし、今度はテレビ系の仕事も考えてみようか』って」
 そこで出会ったのが、人気テレビ番組『世界ふしぎ発見!』だ(TBS)。番組を通じ、ミステリーハンターとして世界各地を飛び回った。さらに『旅スル映画』(映画専門チャンネル ムービープラス)ではナビゲーターとして世界各地から映画情報をナビゲート。『アナザースカイ』(日本テレビ)にもワールドレポーターとして出演している。一方で、ラジオの経済番組で、アシスタントとして番組を回していた経験もあるという。
「モデルだけではなく、いろんなジャンルのお仕事をしながら世界中を旅しました。1ヶ月の間にブラジル行って中国行って、そのあとタイに行く、みたいなこともありましたね(笑)」
 ガッツリと仕事をしながら20代後半にさしかかった頃、ふと、考え始めた。
「いろんな国をまわっていろんな人たちに会ううちに、気付いたんです。お金や物のある・なしに関係なく、どこの国に行っても、必ずそこには幸せな日常があるということを。それを見ながら〝本当の豊かさってなんだろう?〟って考え始めたんですよね。結果、私も〝自分のホームが欲しい、家庭を作りたい!〟と思うようになりました。ちょうどそのタイミングで結婚と出産が重なりまして。これは一度立ち止まり、仕事よりも家庭を大事にする時期なのではないか、と」
きっぱりと仕事を辞めて、以来、子育てに集中。そのとき生まれた第一子も10歳になったという。
「ですからプチセブンを卒業してから、ガッツリ仕事を10年、ガッツリ子育てを10年、という感じです(笑)」
メリハリの効いた人生。とはいえ、自分で選んだ道なら、そこが自分の居場所だ。
その後に生まれたふたり目の子どもも、小学生になった。
「ようやく時間に余裕ができたので、そろそろ自分のための何かを始めようと思いました。そこで今、社会人大学で大好きな芸術・美術の分野を勉強しています。つまり私、大学生なんです。体系的に様々なことを学ぶことで、パブロ・ピカソの素晴らしさを改めて理解することができたり(笑)。大人になった今だからこそ、本当に学ことが楽しいです!」
この先、なんでもできそうな真理奈。どこを目指しているんだろう?
「さあ、この先、どうするんでしょうね(笑)。今までもそうでしたけど、ある程度の目標は設定するんですが、でも、〝こうじゃなきゃいけない〟みたいなことは、決めたくないんです。今回のプチモ・インスタに関しても、1年前には想像すらしなかった出来事です。そして今日は、こんな形で皆んなで撮影しているんですから。もう、コワイもの無しなので(笑)、その時々に感じる自分がやりたいことを、やっていくと思います。そうしたらまた、新しい扉につながるかもしれない。大事なのは、そこに変化があったとき、対応できるかできないかっていうことなのかなって、最近感じるんですよね。当たり前だったことが、すぐに当たり前じゃなくなる時代ですから」

  • Styling Direction IKURA Tak IKURA
    インスタグラムhttps://www.instagram.com/taky_ikura/?hl=ja
    Hair & Makeup 藍野律子 RITSUKO

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    取材/文:岡本麻佑

    フリーライター歴30余年。女性誌、一般誌、新聞などで活動。俳優・タレント・アイドル・ミュージシャン・アーティスト・文化人から政治家まで幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。単行本、新書なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/