「キレイに生まれついたってだけで高収入、オイシイよなー」って思っている人は多いと思うけど、モデルはそんなに甘い仕事じゃない。まさしくキレイに生まれついた森絵里香が、こんな話をしてくれた。
「プチセブンのモデルは15歳から始めて、19歳まで続けました。地元が静岡なので、高校に通いながら仕事のたびに上京していました。高校卒業後は約9年間講談社『with』の専属をやって、それを卒業したあと小学館『AneCan』の専属をやっていました」
 ティーン誌から大人の女性誌へと、順調なキャリアアップ。でもその途中で、気が付いたことがあるという。
「私自身、特に自分でどうこうしようと思わなくても、お仕事をいただけていた時期がありました。でも20代半ばくらいから、見えてきたんですよね。上に行きたいと思って頑張っている人と、ぼんやりやっているだけの人とでは、明確な差が出るものだ、ということに。特に『AneCan』は、私が30歳になった頃から始めたんですが、いろんな雑誌のトップで活躍するモデルたちが集結したような、激戦区だったんです。その中に入ってみたら、自分が今まで努力不足だったことを痛感しました。その辺から、仕事が楽しいだけじゃなくなって、この競争に勝っていかないといけないって、気持ちが切り替わりました。まわりの人たちと並んだときに、引けを取らないように、葛藤と努力の日々が始まったんです」
 いったいどんな努力をしたのか、というと。
「24時間、モデルの仕事のことだけを考えていました。週3でジムに行き、食事もすごく気をつけて。どうやったらもっとうまくポーズを取れるか、どうしたら私の個性を輝かせることができるのか、1年くらい、それだけのために頑張っていました。先日、体操の内村航平選手が引退されましたよね。そのときの会見で、『この2年間、鉄棒のことだけ考えていた』とおっしゃるのを聞いて、すごく共感できる部分がありました。内村さんと自分を比べるのはおこがましいですが、私にも同じように、それだけを考えていた時期があったな、と」
 そんな日々の努力が実って、読者の人気はうなぎ登り。とうとう、雑誌の顔とも言える表紙に大抜擢された。
「表紙は目標のひとつだったので、すごく嬉しかったです! やっぱり長く何かを続けて行くのなら、どんな仕事でも努力はしなければいけないし、その努力も闇雲じゃなく、目標を持ってしていかなきゃいけない。でも努力したからって、必ずしも報われるとは限らないんですよね。それを何度もくり返しましたし、味わってきました」
 そして今、森絵里香は、次のフェーズに進んでいる。
「4年前、小さいですが自分のエステサロンをオープンしたんです。自分が通って気に入っていたバスト専門のエステ店があって、そこのフランチャイズという形で、サロンのオーナーになりました(バストサロン『be-con麻布十番』)。モデルの仕事は今も続けています。サロンワークと両立する事で、良いバランスを取れてきたと思います」
 間もなく、40歳のバースデーを迎える。
「一生35歳ならいいのにって思う時もあるけれど、そうもいきませんから(笑)。シワや白髪を発見したりいろんな変化は感じますけど、でも不思議なことに、それにともなって『楽だな』って思う部分もあります。年齢を重ねた分、自分を閉じ込めていた殻が外れたような気がします。今現在の自分も結構好きなので」
 目指している女性像が、あるという。
「アニメのキャラクターなんですけど、ジブリの『紅の豚』に出てくるジーナさんという女性が、カッコいいんです。物腰が優雅で、大人の貫禄もあって。50歳60歳になったときに、そういう人でいたいなって。それが私の最終目標ですね」

森絵里香https://incent.jp/idea/model/mori_eri/