NHKFMの『弾き語りフォーユー』という番組を始めて、今年で23年。毎日これを聴いているファンは、日本全国にいる。さぞかし剛腕の放送作家がついている、と思ったら、
「いえ、僕ひとりでやっています。僕が自分で選曲して、しゃべるのはフリートークです。リスナーさんからのお手紙やリクエストを全部僕が持ち帰り、その日ごとのテーマを決めて、3曲か4曲選びます。録音を切ったり貼ったり編集するのはイヤなので、オープニングからストップウォッチを横目で見ながら、ノンストップの進行です。まずオープニングの曲を弾き、〝こんにちは、小原孝です〟と1分30秒からトークに移る。曲を弾いて、話を挟んで、19分になったらエンディング曲を弾きます。緊張感あふれる、まあ、まったりした番組なんですが(笑)、1回20分、そういう現場です」
 月曜日から木曜日、11時からの番組は、ピアノの音がキレイに聞こえる、静かで優しくて豊かな時間。クラシック、ジャズ、民謡、童話、ポップス、ありとあらゆるジャンルの音楽が小原孝のピアノを通して、心地良く耳に流れ込んでくる。まさに小原孝ならではの、彼にしかできない音楽番組だ。日常生活や仕事で疲れ切った心と身体を、小原の声とピアノが、ゆっくりやさしく、解きほぐしてくれる。
「オンエア以前の、調べ物とか資料探しとか、死ぬほど大変なんですけどね(笑)。まああの、自分でやるほうが好きなので、他の人に任せるより、どうしても自分でなんでも調べたくなっちゃうんですね」
 このコロナ禍でさまざまな活動が休止せざるを得ない日々が続き、小原は最近、YouTubeチャンネルもスタート。
「自分の好きな曲を若いアーティストさんと組んで演奏したり、いろいろ挑戦もしています。今のところ、見てくれるのは年配の人が多いんですが(笑)。ぜひチャンネル登録してください!」
 2020年に予定していたデビュー30周年コンサートなどさまざまな活動を、小原は休止せざるを得なかった。今年2022年はそのリベンジとばかりに、一気に活動を再開する予定だ。1月19日には、51枚目のアルバム『小原孝のピアノ・カフェテラス~やすらぎの時間をご一緒に~』が発売された。そして2月11日には、2年8ヶ月ぶりのコンサート『小原孝ピアノリサイタル2022~音楽はいつも心にやさしい~』が開かれる。
 またぞろコロナ禍が再燃、オミクロン株が登場し、予断を許さない状況だけれど、大丈夫。何があっても、いや、何かあるとさらにパワーアップして運命に立ち向かうのが、小原孝の生き方。この先もポジティブな精神を美しいピアノの音色でコーティングして、私たちに聴かせてくれるはず。
「音楽ができない時代を経験したからこそ、音楽の素晴らしさを今、伝えたい。この先も、2030年にはデビュー40周年があります。そのときも元気でピアノを弾いていられるように、頑張って行こうと思います」

  • 出演 :小原孝  おはら たかし

    神奈川県川崎市生まれ。国立音楽大学を経て1986年国立音楽大学大学院を首席で修了。クロイツアー賞を受賞。以来クラシック、JAZZ、POPS、童謡・唱歌、民謡など幅広い音楽活動を行い、舞台音楽にも挑戦、さまざまなアーティストとのコラボレーションも多い。1990年のデビューより通算50枚のアルバムをリリース。コンサートツアーも好評でステージ数は1500回を超える。1999年よりNHKFM「弾き語りフォーユー」パーソナリティを務め長寿番組となっている。各賞受賞多数。また東日本大震災や熊本地震などのチャリティー活動にも積極的に取り組んでいる。

  • 小原孝のピアノサロンhttp://www2.odn.ne.jp/~cau57200/

    弾き語りフォーユーhttps://www4.nhk.or.jp/hikigatari/

    YouTube 小原孝pianoチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCaH1NEU933-WsdXIsuD0f_Q/videos

  • 【出演情報】

    『小原孝ピアノ・リサイタル2022~音楽はいつも心にやさしい~』
    2月11日(金・祝)ミューザ川崎シンフォニーホール 12時30分開場 13時開演 
    ゲスト:ジュニア合唱団・Uni(指揮:中島はるみ)Ro-Onチケット:047-365-9960

    【新譜情報】

    2022年1月19日発売 51枚目のニューアルバム
    『小原孝のピアノ・カフェテラス~やすらぎの時間をご一緒に』
    キングレコード ¥3000(税込)
    https://www.kingrecords.co.jp/cs/artist/artist.aspx?artist=38340

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。
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  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/