そんなこんなでYEOも久々の更新。ヒロインは大倉杏菜、めっちゃ元気な女優さんだ。
「はじめまして、大倉杏菜です。ま、単刀直入に言うと、お芝居やってる人間です」
〝お芝居やってる人間〟は、たくさんいるけれど、彼女のキャリア作りの方法は、かなりユニーク。なんだかいろいろ右肩下がりの世の中だけど、彼女の話を聞いていたら、やる気と元気に感染して、『扉を叩く者の前にのみ、扉は開く(きっとね!)』という格言が脳内で勝手に誕生してしまった。
 生まれは京都。3歳からバレエを始め、年に1回は発表会で舞台に立ち続け、高校3年生の時点で、大学に入ってもバレエは続けよう、と思っていたらしい。ところが高3の夏、彼女が通っていた高校のすぐそばに、人生の曲がり角が待っていた。
「高校は太秦撮影所のそばにあって、そこで天海祐希さんが時代劇を撮影する、というのを風の噂で聞きまして。『女信長』っていうスペシャルドラマ、時代劇で、兵士役の男性を何十人か募集しているという情報をゲットしたんです。私、天海さんの『カエルの王女さま』っていうドラマが大好きだったんですよ。ずっとバレエという身体表現をしてきたけれど、台詞が入るだけで表現の幅も一気に広がるなって。その天海さんがお芝居しているところを生で見たい! と思って、応募して、でも女だから落とされました、当たり前ですけど。でも様子を見ていたら、男の子が足りないっていうから、高校の友だちの男の子ふたり連れてロケ現場に向かったんです。滋賀県かなにかで、2時間くらいかかったと思います。で、スタッフさんに、せっかくここまで来たので、私にも何かお手伝いできることありますか? って」
 現場の製作スタッフは、さぞかしびっくりしたことだろう。けど、あたたかく迎え入れてくれた。エキストラの荷物の見張り当番をはじめ、嬉々として雑用をこなす彼女に、撮影を見ておいで、と、ちょっとの間交代してくれたり、明日はここでやるから、良かったらまたおいで、と声をかけてくれたり。
「そのご厚意に甘えて、8月まるまる、ほぼ毎日通わせていただきました。親には図書館で大学受験の勉強をするからって、ウソついて。そのうち、何度かエキストラで使ってもらったりもしました。楽しかった! あの夏が、人生の中で最高の夏でした」
 話はそこで終わらない。
「で、夏休み最後の日、プロデューサーさんに、たまたま会えたんです。どうやら噂になっていたらしくて、〝君か、潜り込んでいる高校生っていうのは!〟って。〝こういうのやりたいの?〟って聞かれたから〝はい!〟って答えたら、〝じゃあ東京に来なよ〟って、それだけ言われたんです。その瞬間、そうか、東京に行ったらこれができるんだ!って、単純に信じちゃったんですよね」
 そこから青山学院大学にターゲットを絞り、猛勉強して、見事合格。春には大学生として、そして芝居をする人になるために、東京の土を踏んでいた。
 ここから先も、大倉杏菜の行く先々には、ウソみたいなホントの話が盛り沢山。金曜日まで連日更新するので、お楽しみに!

  • 出演 :大倉杏菜 おおくら あんな

    女優・アーティスト・タレント 1994年10月8日生まれ。京都府出身。青山学院大学在学中に劇団『カムカムミニキーナ』に所属、後に退団。3歳から18歳までクラシックバレエを学び、大学卒業後は渡米してシアターダンスを習得。舞台、ミュージカルなどで幅広く活躍している。21年12月には『大阪環状線大正駅編~愛のエイサープロポーズ大作戦~』に出演するほか、振付も担当する。

    所属事務所 有限会社ブロードウェイ・ライン・カンパニー/https://www.b-l-c.jp/uncategorized/1974.html

    Instagram/ https://www.instagram.com/annaokura/?hl=ja

    絵はがき Instagram/https://www.instagram.com/annanoehagaki/?hl=ja

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/