当たり前の生活に憧れて、26歳で結婚、すぐに長男を出産。翌年には次男も生まれ、さらに5年後には三男も生まれて、子育て生活に突入。
「子育て、楽しかったです。男の子3人というと、みんな『大変でしょ?』って言うけど、私はそれしか知らないから、特別に大変なのかどうか、わかりません。けど、実際、記憶がないんですよね。朝起きると、子どもが走り回っているから、とりあえず食べさせて動かして寝せて、のくり返し。だんだんと、そんなにちゃんとしなくても、楽しければいいや、っていうふうになってきて(笑)」
 結婚生活も、最初は楽しかった。けれど、「よき妻を演じようとしたのか、自分が受け止めて、自分が我慢していれば、うまくおさまる状況を作ってしまったんですね」
 離婚に至るいきさつを、彼女は積極的に話そうとはしない。けど、どうやらいろいろ、問題はあったようで。
「結婚前から、家庭的な人ではないとわかっていたんです。それでも子どもが生まれれば少しは変わってくれるかな、と期待していたのは、無駄でした(笑)。相手を変えようと思っても難しいって、言いますものね。それに、後から共依存という言葉を知って、それだったのかも、とも思いました。今思えば、私がいなければこの人は、みたいな思い込みがあったような気がします。離婚を決めたのは、子どものため。子どもたちを見ていて、離婚しなければ、と思いました」
 結婚生活は17年でピリオドを打った。
 働く母として、仕事場に復帰。ドラマや映画、舞台と徐々に活躍の場を広げ、ほっとひと息ついた頃、思わぬ展開に。海外ロケに行く前、薬をもらうために病院に行ったところ、検査を勧められ、そこでガンが見つかったのだ。
「お医者さんに、まるで『風邪ですね』って言うみたいにふつうに『ガンですよ』って言われたので、びっくりしました。『私、死ねません!』って即答した記憶があります」
 手術をして一件落着、とは、いかなかった。