会った途端に、「久しぶりー、元気だった？」と声をかけそうになった。初対面なのに。
　古村比呂、かつて絶大な人気を誇った女優さん。だけど結婚、出産、離婚、ガンの発症、闘病と続き、芸能界でのキャリアを何度も中断せざるを得なかった。
　けれど今は３人の子ども達も成長し、２年余前には主治医からＯＫが出て、仕事を再開。
「主治医から、『仕事してください！』ってプッシュされました。なんかいろいろ、メディアではガンのことばかりクローズアップされてきて、その話題ばかりなので、そろそろ、もっと元気でやる気まんまんの私をアピールしたいなって、思ったんです」
　この夏、８月７日には、舞台に復帰する。2018年に出演予定だったのに、治療のために降板せざるを得なかった朗読劇『この子たちの夏　1945・ヒロシマ　ナガサキ』、３年後の今年、同じ舞台で復活することになったのだ。
「すごく良い舞台なんです。かなり昔から、ずっと続けて来たものなので、また参加できるのが、すごくうれしいんですよね」
　デビュー以来、朝ドラのヒロインを務めたり、いろいろなドラマで活躍していた古村比呂。清楚でチャーミングでお茶目で、日本中から愛される女優だった。26歳で結婚してから３人の男の子を出産、子育てに追われて、芸能界から姿を消していた。12年前に離婚して、その３年後に病気が判明して、闘病生活に。
　というわけで長い間のブランクがあったけれど、今は、
「また、役者やりたいなっていう思いが強いです。55歳になって、人生には限りがありますから、これからの毎日は楽しく芝居をしたい、それだけです」
　ヘビーな人生を送ってきたはずなのに、今、ショートヘアの彼女はとても軽やかで、明るい。重たい過去は切り捨てたのか、飲み込んだのか、その表情はこちらの予想を鮮やかに裏切って、潔くて清々しい。何があって、何を思い、今があるのか。今週のＹＥＯは女優・古村比呂をクローズアップ。金曜日まで連日更新して、今の彼女を見つめます。