ドレッドヘアのライオンとホワイト・タイガーに挟まれて微笑むキレイなお姉さんが、今週のヒロイン。羊毛造形アーティストの太田光美だ。ライオンと虎は彼女の作品、羊毛フェルトで出来ている。
 羊毛フェルトってなんだ? っていう人のためにちょっと説明すると。
【特殊な針(ニードル)を使って羊毛を刺すことによって、繊維を固めながら成形(フェルト化)し、さらに成形したものに植毛したりして、作品を作る】ってことらしい。
 そのプロセスは、ふわふわの羊毛を手に、ひたすらチクチクチクチク、サクサクサクサク。10年ほど前から日本でも話題になり、挑戦する人が増えてきた。かわいいマスコットやアクセサリーを作ったり、ペットの犬や猫やウサギに似せて作ったり。コロナ禍で外出自粛の日々が続くなか、趣味のひとつとして始めた人も多かったはず。
 でも太田光美の作品は、従来の羊毛フェルトとはひと味もふた味も、いや、次元が違う。彼女が製作した犬も猫も象もライオンもカメも鹿も、まるで命が宿っているような。目を離すと勝手に動き出しそうな。そして時々、こちらを密かに観察しているような。
〝かわいい〟とか〝ステキ〟よりも、まず飛び出すのは〝すごい!〟〝カッコいい!〟という賛嘆の声。存在感があり生命感があり、スタイリッシュでモード系、そしてドキドキしてしまうほどリアルなのだ。
 創造主たる太田光美がどんな人物か、というと。本人いわく、
「計画性は皆無、なんですよ、基本的に。熱しやすく冷めやすい。踊ったり歌ったりいろいろしたけど、20代の私は本当にどうしようもなくて、行き当たりばったりで」
 波乱の20代を経て、太田光美はどのように羊毛フェルトと出会い、共に歩くようになったのか。今週のYEOは超カッコイイ羊毛フェルトの動物たちと一緒に、金曜日まで連日更新。チクチク刺していると、だんだん固まってくるんです、羊毛も自分自身も。

  • 出演 :太田光美 おおた てるみ

    羊毛造形アーティスト 北海道生まれ。2009年、某フラワー協会にて、フレッシュフラワー&プリザードフラワーの資格を取得、講師を勤める。2010年ロンドンへ語学留学。2011年帰国後、草月流いけばなを学ぶ。2012年〈羊毛フェルト〉を知り、独学でスキルを身につける。2013年『True Style Lab.』を立ちあげ、羊毛フェルトアーティストとして活動を開始。初のアート展ARTLABOX2013に参加、入賞。2014年イギリス、ロンドンで複数展示。また、ウェールズでの羊毛専門イベントで注目を集める。新宿伊勢丹など百貨店でのイベントに出展。2015年イギリス羊毛協会が発行するマガジンで特集される。2016年パリにてグループ展開催。2017年、台湾で展示。2018年The Wool Mark Companyとのタイアップ企画・東急プラザ銀座のクリスマスイベントとして約1ヶ月にわたる展示を担当。施設内4フロアと数寄屋橋交差点から見上げる大型隅切り広告(ビル屋上看板)や各所デジタルサイネージに使用の大型展示となる。同年、香港アートフェアに出展。The New York Times、T-magazineでも紹介されるなど国内外のメディアに多数紹介される。2021年よりオンラインサロンをスタート。初回から多数の会員を集める。

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/