5 ワイルドでロックで、料理好き
ヴァイオリニスト 牧山純子
- Magazine ID: 4019
- Posted: 2020.11.06
日本に戻ってからは、自身のアルバム『ミストラル』でメジャーデビュー。人気ドラマの音楽を担当したり、ジャズ・フェスに参加したり。ラジオでDJを務めたり、テレビ番組でコメンテーターを務めたり。
「本当は私、ソリストではなく、後ろで弾きたいタイプです。主役になる人がどんどん盛り上がっていくのを、脇から支えるのが好きなんです。でも、実際に私に求められるのは、違う方向なんですね。とはいえ、小さい頃から、才能があっても仕事に恵まれない人たちを知っているので、こんな私に声をかけてくれたのだから頑張るしかない、と思って、ひとつひとつ仕事に向き合って、今がある、という感じです。〝前に出たいんでしょ?〟って、よく言われますけど、でも本来は違うな、って思います」
演奏シーンを撮影するとき、カメラ前でリアルに一曲、自作の『スロベニア組曲』を演奏してくれた。クラシックとジャズが見事に融合したその演奏は、思っていたよりもずっとワイルドでロックで、力強い。
「私のヴァイオリンの音色は、けっこう野太いんです。クラシックの世界では、みんなと同じ音が出せないのは出来損ないと呼ばれますけど、ジャズなら個性になる。それにジャズはオリジナリティが一番大事ですから、歳を重ねるにつれて味がでてきます。たった1音で人生観を出すことだって、できるんです。この1音で、今までの苦労だったり楽しかったことだったり、表現できたらいいなって。そんな目標が持てただけでも、ジャズに出逢えて良かったと思います」
2020年4月に発表したアルバム『アレグリア』には、エレクトリック・ヴァイオリンで演奏する曲も収められている。牧山純子の挑戦は、まだまだ続く。
「趣味は料理、食べることが大好きです。ちゃんと勉強しているわけではありませんけど、アクアパッツァみたいな見栄え勝負みたいな料理も作るし、以前は一番だし二番だしをとって、おせち料理を全部作って、仕上げに使い終わった鰹節をふりかけにして、どうよ?っていうこともありました(笑)。外食が多いので野菜中心のメニュー、それを日々変化させて、違うひと皿にしてみたり。ぬか漬けもやっています」
最初から最後まで、見かけによらない、意外な人だ。
「今年は、みんなそうだと思いますけど、自分が思っていたような年にはなりませんでした。こういうことがあると、なおさら、ふつうにしていること、健康に生きていることに感謝、ですよね。本当にやりたい、と思ってもできないこともあるし、やりたくなくても、与えられることもある。だからその時その場で出会ったもの、やらなければいけないこと、やるべきことに、ひとつひとつ真剣に向き合っていけば、自ずと次が見えてくるんじゃないかって。なるようになるかなって、思っています(笑)」
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出演 :牧山純子 まきやま じゅんこ
1974年、東京都生まれ。4歳からヴァイオリンを始め、武蔵野音楽大学卒業後、フランスで研鑽を積んで帰国。2002年よりバークリー音楽大学でジャズヴァイオリンを専攻。同年NHK『紅白歌合戦』にアメリカからの衛星中継で出演(平井堅『大きな古時計』)。08年アルバム『ミストラル』でメジャーデビュー。近年はテレビ番組のコメンテーターも務めるなど、幅広く活躍中。
【公演情報】
2020年4月8日にリリースしたアルバム『アレグリア』(キングレコード)
リリース記念ライブ
11月7日(土)渋谷JZ Brat
http://www.jzbrat.com/liveinfo/2020/11/index.html#2020110711月13日(金)名古屋ボトムライン
https://www.bottomline.co.jp/bottomline/8441/【有料配信】
11月13日(金)牧山純子ニュープロジェクト『アレグリア』リリース記念ライブ
2020/11/13(金)~2020/11/15(日)
https://eplus.jp/sf/detail/0224190002-P0030007?P6=001&P1=0402&P59=1YEOからお知らせ:YEO専用アプリ
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取材/文:岡本麻佑
国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。
br>撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/