1 たいやきくんからヘレン・メリルへ
ジャズヴォーカリスト Shiho
- Magazine ID: 4005
- Posted: 2020.09.28
ジャズが大好きな人、ジャズシーンに詳しい人、ジャンルを問わず良い音楽が好きな人なら、この顔を見てピーンと来るはず。ジャズシンガー、じゃなくてジャズヴォーカリストのShiho、YEOに初登場だ。
「私あの、失礼ながら存じ上げなかったんです、このYEOのこと。でも周りの人たちが『すごい、このサイトめっちゃイケてる!』って話しているのを聞いて、『出てみたら?』って勧められたので、じゃあぜひお願いしたいと思いました」
ふふふ、このひと言で彼女のこと、すごくよくわかる。言葉遣いがキレイ、だけどくだけた言い方もできる。人の言うことにちゃんと耳を傾けることができて、しかも新しいことにチャレンジする勇気がある。
ミュージシャンとしてのキャリアの始まりは、7歳のとき。近所のピアノ教室に、クラシックピアノの基礎を習いに行ったこと。
「祖母の家にピアノがあって、小さいときにそれを弾くのが大好きだったんですよ。でも何も教わってないから、めちゃくちゃ弾いてました。そのピアノのある部屋が通りに面していたので、その音が外に漏れて恥ずかしい、と祖母に言われ、習いに行かされたんです。その頃、ピアノを習いに行くのって、わりと普通のことだったし」
もともと、音楽が好き。毎日のように『およげたいやきくん』を聴き、ピンクレディにハマり、自分で初めて買ったレコードは『なめ猫』だったとか。すっごいフツーのお子さまだったわけで。ところが、
「中学高校になると、ピアノ教室に行くのが面倒臭くて、どうやってサボるか、ばかり考えてました。クラシックピアノが合わなかったのかも。楽譜に書いてある通りに弾かなきゃいけない、というのが理解できなくて、ピアノ記号のところを爆音で弾いたり、逆のアプローチを勝手にやってみたり」
そこでピアノの先生は、彼女にこう言った。『ジャズをやったらいいかもしれない』。
「そこで高校生のときから、ジャズピアノを習いに行ったんです。紹介されたのはグループサウンズのブルーコメッツでキーボードを弾いていた先生でした。グループサウンズの人たちって、ジャズも得意にしていた方が多かったみたいですね」
そこでジャズピアノを学ぶうちに、今度はその先生が彼女に言った。『どうせピアノもできるんだから、歌もやってみれば?』
「自分が歌手になろうなんて、1回も思ったことなかったんです。だからそう言われてもハナほじりながら『へー』みたいな(笑)。でも、そうか、やってみようかなって」
ちょうどその頃、ヘレン・メリルと出逢っていた。
「私が高校生のときってハードロックとかヘビメタルがめちゃめちゃ流行りだした頃で、私も大好きだったんですけど、周りがそういうのを聴いてる中で、初めて出逢ったジャズのレコードがヘレン・メリルでした。『Helen Merrill with Clliford Brown』を聴いて、ヘレン・メリルの声とか、ジャズ独特のリズムとかノリに魅せられて、〝なにこれ! 大人!〟って憧れて」
19歳くらいで、ライブハウスで人前で弾き語りをするようになる。
さてさて、ここから始まるShihoの物語は、金曜日まで連日更新しながらのお楽しみ。暑苦しい夏も終わって、ようやく秋本番。今週もYEOをよろしく!
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出演 :Shiho
2001年日本人として初のアメリカ、コンコードレーベルよりFried Pride(フライドプライド)のヴォーカリストとしてCDデビュー。ブルーノートやビルボードライブを中心に全国各地でジャズライブを行い、ジャズイベントにも多数参加。2016年Fried Pride活動終了後はソロのヴォーカリストとしてライブを中心に活動中。2019年には初のソロアルバム『A Vocalist』をセルフプロデュースによりリリースしている。
YouTube/https://www.youtube.com/channel/UCYpAKzsZmMfp2R0wsYa2BsQ
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取材/文:岡本麻佑
国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/