仕事を辞めて、子宮頸がんに立ち向かおうと決めた堀越のり。だけどいきなり、難題にぶつかった。早期発見のその段階では、治療法が一切無かったのだ。
「検査すると数値は異常なんですけど、ステージに入るほどではない。一歩手前のその段階では、何も治療のしようがないんです。しかも毎月検診に行くたびに、ステージ直前のぎりぎりの段階だったり、ゼロに近い数値に戻っていたり、振り幅が大きいので安心もできない。そのまま何ヶ月も何ヶ月も毎日、どこかガンのことを考えている自分がいました。何のために仕事を辞めたのか、まるで見つけ損だね、なんて言う人もいて、すごく苦しい毎日が続きました」
 あちこちの病院に足を運び、有明のがんセンターで全身をチェックし、他のガンがないか確認したことも。家ではガンに効果があると言われる発酵食品にハマり、自然食品を取り入れ、あれやこれやと、次から次にやってみた。
「ガンの治療って、人それぞれ。自分に合う治療法と自分に合う医師を見つけないと。みんな一緒じゃないんです。だから、頑張りました」
 そういえば、仕事を辞めたと同時に結婚したお相手は、歯科のお医者さま。
「はい、すごく頼りがいのある人です。もともと私、歯医者嫌いでお医者さん嫌いで、注射1本にもビクビクする人間なんですよ。でも彼の歯医者に行くと自分がリラックスして受診していることに気が付いて、会話も弾むし、ですからプロポーズされてすぐにOKしたんです。病気がわかると彼も心配してくれて、どんどん、やりたい治療をやりなさいって言ってくれました。私はけっこうワガママで頑固なんですけど、彼は口出しを一切しないで、自分で良いと思うことはなんでもやりなさいと言ってくれたので、自由奔放に治しました、はい(笑)」