本当は女優志願だったという堀越のり。バラエティ番組で活躍してきたものの、その立ち位置は、いわゆる〝いじられキャラ〟だった。
「必ず芸人さんとセットで、その芸人さんたちが私をうまく転がしてくれて、おかげで生き生きと活動できたのかな、と思います。ひとりだけでコーナーを持たせていただく機会もあって、ひとりだけでコントに近いものをやらなくちゃいけないこともあって、責任重大だし、難しいこともありました。5~6年そういう時期が続いて、でも、一生懸命やっているのに〝天然〟と呼ばれてしまったり、なかなか悩みどころというか、自分の中ではストレスだったというか」
 こんなこともあった。あの『愛のエプロン』に登場、『第1回ワーストエプロン大賞』を受賞して、料理できないキャラが定着した頃のこと。
「餃子を作る日があったんです。私は幸い、芸能の仕事に入る前にアルバイト先で餃子を包んでいたので、その日はものすごい早さでものすごい上手に餃子を包むことができたんですよ。そうしたら〝料理下手のキャラで呼んでいるのに、余計なことをしてくれた〟っていうことで、スタジオの空気が凍り付いてしまった。スーツを着た偉い人が上から降りてきて、『今日、調子悪いんじゃないの?』って叱られました。でも私は、『今日はこんなに上手にできて、調子良いほうですけど?』みたいな(笑) 。
 テレビに出るってそういうことなのかもしれませんけど、でも自分の変なコンプレックスとかヘタクソなところばかりどんどん露出されて人気になると、ちょっとバグってきますよね。葛藤がありました」
 そんなこんなで、そろそろ限界。結婚を機に芸能界をセーブしようと思った、ちょうどそのタイミングだったのだ、子宮頸がんの赤信号がついたのは。