4 空飛ぶクジラ
板鼻美幸
- Magazine ID: 3958
- Posted: 2019.12.19
11月30日と12月1日、石巻に〈空飛ぶクジラ〉が出現した。8年前、東日本大震災で大きな被害を受けたこの町で、子どもたちを元気づけようと開催された『子どものまちいしのまき2019』。板鼻美幸はてのひらアートのワークショップを開催し、およそ350人の子どもたちと一緒に、クジラを誕生させたのだ。
「地元商店街やいろんな企業が集まって開催されているイベントですが、そもそも私は仙台生まれで地元みたいなものですし、今回は、竹中工務店の方に『みゆきちゃんがやってるてのひらアート、やってくれない?』とお声がけいただいて、駆けつけました。偶然にも協賛企業の中に竹中工務店と乃村工藝社があって、両方とも私、ご縁があるんです。竹中工務店は私が学生時代アルバイトをしていたところで、乃村工藝社は私が2年前まで勤めていた会社。今回は、画材のキットパスを作っている日本理化学工業さんも協力してくれています」
急遽、ハギニワ氏も石巻に向かい、今回のYEOの写真はすべて、石巻ロケで撮影。ついでに石巻で美味しい海の幸をたらふく食べてきたらしい。
それにしても、大人数で大きな絵を作るのは、そう簡単ではないはず。手のひらにキットパスを塗って、それぞれが好きな色を好きなところに押していたら、絵としてまとまらないよね?
「そうですねー(笑)。最初に私が下絵を描いておくんですが、迷っている子どもがいたら、『どこに押したらキレイか、考えてみて』って、伝えます。中には全然違う色で、違うところにバーンと押す子もいますし、コラッって思うこともありますけど(笑)。でも、それはそれで面白いな、と。それもアリ、でやってます。私ひとりが描いているわけじゃない、みんなで描いているわけですから」
手は、大きさも形も圧力も、人それぞれ。
「毎回、手形の側に、名前も書いてもらっています。これを見て、大きいとか小さいとか、これは友達のナントカちゃんの手だ、とか、そんなコミュニケーションが生まれたら、いいなって。ですから来年のイベントで、どこかに飾ってもらえるように交渉中です。復興事業が進む町の成長と、子どもたちの成長が感じられるから」