パーティやら小さなイベントやら、回数を重ねるうちに、板鼻のてのひらアートはどんどん進化していった。知り合いから、本格的なパフォーマンスとしてのオファーが舞い込んだのは、そんな頃。なんとあの、黄色と深い緑のスケッチブックで有名な文具メーカー、マルマンの新製品発表会『マルマンフェア2017』で、てのひらアートをやってみないか、というのだ。
「『やる?』って聞かれたので、『やる!』って答えました。縦1.5㍍×横4.5㍍の大きいキャンバスをドーンと用意していただいて、そこに来ていたお客さまたちにクジャクの絵を一緒に作ってもらったんです、手のひらで。そこはビジネスの場なので、子どもたちはいなくて、文具業界のスーツを着たおじさまたちばかり。担当の方は〝やってくれるでしょうか?〟と心配だったようですけど、私はみんな参加して楽しんでくれるだろうと思っていました。実際、『やりませんか?』と声をかけたらみなさん、『いいよ』って協力して下さって。2日間で500人くらいの方たちに参加していただきました。最後はマルマンの社長さんに、クジャクの眼を入れていただいたんですよ(笑)」
 その大成功をうけ、次に向かったのが、2018年の母の日に開催された『マルマン図案スケッチブック×東京タワー 60周年記念イベント』。約2000人の手のひらで『母に贈る花束』を作る、大イベントだ。
「みんなの手のひらで、カーネーションの大きな花束の絵を描きました。それとは別に、自分の手形をカーネーションにして、お母さんへのメッセージを添えてカードを作るコーナーも企画したんです。中学生くらいの男の子が照れ臭そうに何かメッセージを書き込んでいたり、海外から旅行中のカップルや、いろいろな方が参加してくれました」
 以来、いろいろなイベントで、板鼻美幸のてのひらアートは活躍中。つい先日、YEOで紹介した『キネコ国際映画祭』のオープニングセレモニーでも、大好評だったとか。
「この夏、川崎市の商業施設でイベントをやったら、川崎市長さんも参加して下さって、すごいなって思いました。渋谷区でもやったことがあって、渋谷区長さんが来てくれたり。すごいなって、自分で驚いてしまいました」
 そんな板鼻美幸が2019年11月30日と12月1日に参加した、石巻のイベントの話は、明日のYEOにて!