「ビリヤードさえ出来れば女性にモテる、という時代があったそうです。その頃は今のコンビニの数より、ビリヤード場の数のほうが多かったとか」
 どうやら1980年代中盤に、そんな時代があったらしい。1986年製作の映画『ハスラー2』でポール・ニューマンとトム・クルーズがカッコ良くキューを操る姿が描き出され、みんなすっかりその気で、ビリヤード場にたむろしていたとか。
「今50代くらいの人はみんなビリヤードやっていたんじゃないかな。ボーリング場が混んでいていっぱいで、待ち時間にビリヤードをやる、ということが多かった。けっこうみんなやっていたよ」
 とは、ハギニワ氏の経験談。どうやら彼も、一時期ハマっていたようで。
「ちょっとやってみます?」という江辺香織の誘いに乗って、ハギニワ氏とライターの私も、キューを握ってみた。
〝足はこう、手はこう、こうかまえて、視線をここに、はい、打ってみましょう〟と、さすが江辺香織の指導は的確で、しかも優しい。
 言われた通りに恐る恐る打ってみて、球がポケットに吸い込まれると、素直にうれしい。ハギニワ氏も何回か打つうちに、「あー、思い出してきた、そうそう、この感じだよね!」と、けっこうノリノリ。これ、楽しいかも!
「ビリヤードをやる人の数は増えている、と何年も前から言われています。会社の中にリクレーションの一貫としてビリヤード台を置く企業も、多いとか。私も今まで10代、20代と続けてきて、このお店を作ることでひとつの形を作ることができました。ここをさらに繁盛させて、ビリヤード・ファンをどんどん増やしていくのが、私の夢です」
 同じことを3年前にも言っていたけれど、今の江辺は以前とは違う、優しい表情だ。仕事一辺倒、バリバリの表情で語っていた3年前よりも、その言葉にはパワーがある。
幸せなプライベートのおかげかな。やっぱ働き方改革、必要なのかも!

  • 出演 :江辺香織 えべ かおり

    1984年生まれ。兵庫県出身。2006年12月JPBAのプロテストに合格、史上最年少プロの記録を更新した。約10年間トーナメントプロとして活動の後、アーティスティック・ビリヤード・プレイヤーとして各地でショーを開催。2年前、会員制ビリヤードサロン『Poolsalon503』をオープン。一般社団法人ビリヤード倶楽部の代表理事。

    オフィシャルブログ〈ビリヤードのススメ〉 https://ameblo.jp/ebe-kaori/

    日本ビリヤード倶楽部http://www.japanbilliardsclub.com/index.php

    Poolsalon503http://poolsalon503.com/

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/