5 生意気だけど、根性あり
久下恭平
- Magazine ID: 3924
- Posted: 2019.10.04
団体競技をするときのポジションで、その人の性格がわかることがある。久下恭平が子どもの頃からやっていたのはサッカー、ポジションはゴールキーパーだった。
「幼稚園の頃、隣合わせていた小学校の校庭で、生徒たちがサッカーをしていたんです。それを見て、ひとりだけユニフォームの色が違って、ひとりだけ手でボールをつかんでいるゴールキーパーがカッコイイと思ったんですね。足が速いほうだったので他のポジションを勧められたけど、ガンとして断って、キーパーを志願しました。ただでさえ僕、身長171センチで、キーパーとしては背が低いほうでしたけど、キャプテンでキーパーで身長の低い僕がチームの先頭歩いていたら、めちゃくちゃカッコ良くない?と思っていた(笑)。みんなに指示を出して試合全体を組み立てるのも楽しかったです」
群れから離れて黒幕で、クライマックスで一番目立つのが、ゴールキーパー。やってみなくちゃわからなかったけど、実はもともと役者向き、だったのかも。
そんな久下恭平が今、目指しているのは、どんな役者なのだろう?
「ストレートの会話劇を、ずっとやりたいと思って来ました。もちろんエンタメ性の高い作品をやるのも見るのも大好きですけれど、小劇場根性なのか、ストレートの会話劇をやって、嘘がない芝居を見てもらいたい。そしていつか、大きい劇場で、3人とか4人で成立するような会話劇をできるようになったら、多分泣いちゃうんじゃないかな(笑)」
わかる。あの緊張感、あの説得力、あのドラマ性。演劇好きには、たまらない。よくあんな大量の台詞を記憶できると、そこからまず、すごいと思う。
「台詞憶えは、得意なほうだと思います。顔あわせの段階で全部覚えていくようにしています。以前、ある舞台に出させてもらったときも、すごい長台詞があったんです。もちろんその時はまだ新人やし、先輩俳優の方々ばかりやから、足引っ張るわけにもいかん、という気持ちで、あと半分はなめられたくない、という気持ちもあって、よし、台詞は全部覚えていこう、と。最初に読み合わせするとき、一切台本を開かずにやりました。今思うと、そんな生意気なこと、ようせん、と思うんですけど(笑)。未だにそのときのことはスタッフにいじられます。生意気なヤツが入ってきたと思ったけど、あいつ、根性あるなと思ったと (笑)」
キレイなお肌にサラフワヘア、スイートな外見だけど、中身はガッツリ、男っぽい。
役者・久下恭平がこれからどんなフィールドでどんな芝居を見せてくれるのか、楽しみだ。
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出演 :久下恭平 くげ きょうへい
1991年9月13日生まれ、兵庫県出身。2013年ワタナベエンターテインメントカレッジ卒業。2015年舞台『GRADUATION』にて初主演。2017年『忍たま乱太郎』にて鉢屋三郎役を務める。2018年東京ハイビーム×ベニバラ兎団合同企画『Selection Theater』にて初の独り芝居を上演。
オフィシャルブログ・https://ameblo.jp/kugekyohei/
ツィッターhttps://twitter.com/kuge_kyohei
【公演情報】
▼スズキプロジェクトバージョンファイブ「壁に挟まった男」
劇場:中野MOMO
日程:2019年10月30日(水)〜11月10日(日)YEOからお知らせ:YEO専用アプリ
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取材/文:岡本麻佑
国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。
br>撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/