ところでこの、〈むらたたむ〉という名前。本名の村田にドラムのタムで、むらたたむ、だとばかり思っていたら。
「違うんです(笑)。中学のとき、まだドラムなんて何も知らない頃に、ある友達が、こう言ったんです。『あのさ、村田、だけどさ、村田って顔してないんだよね。どう見ても、田村だと思う。だから今日からタムって呼ぶわ』って。それ以来、〈むらたたむ〉って呼ばれてます。結果、ドラムっぽかった、という(笑)」
 YouTubeで注目されたきっかけは、そのルックスも大きな要素。カワイイ、けど、スゴイ。
「あの、私、自分が可愛いと思ってないので。世の中に可愛い人はいっぱいいるし。ですから見てくれる人の中には〝自分が可愛いと思って叩きやがって〟みたいなことを言う人もいるんですけど、〝別に、そんなつもりでやってるわけじゃないんだけどな〟って思います。でもだからといって、外見がどうでもいい、とは思っていません。人に見てもらうのに、ボロボロの格好とかしないように、気をつけてます(笑)」
 ドラムを始めて、そろそろ12年。カワイイって言われることに、実は少なからず、抵抗もある。
「もう、来月には27歳になるんです。いい歳なので、そういう見られ方ではなく、もう一段階違うように、自分のドラムの表現だったり技術だったり、そういう面で認めてもらえるように、頑張るぞって感じです」
 たしかにドラムって、叩く人によって音色も存在感も全然違う。バンド全体の背骨、いや土台、場合によっては大輪の花になることも。
「そうなんです! この前、ある人にすごく良い言葉を教えてもらったんですけど、『お客さんがアーティストを見て感動するのは、その音と、その人がそこに至るまでの人生とか経験とか練習とかそういうのが見えるから、感動するんだ』って。私もいろいろな先輩たちとお話すると、素晴らしいミュージシャンの方は、人としても素晴らしい方が多いんです。こういうことなんだろうな、って、すごく思います。私もいつか、変拍子でも流れるようなドラムを叩ける人になりたいし、テクニックだけじゃなく、ドラムの音そのものに色がついているような、そんなドラマーになりたい。人間的にも、成長していきたいです」