にこにこ、ふわっ、穏やかそうな彼女を見て、その正体を見破ることのできる人は、少ないんじゃないかな。むらたたむ、今話題の、超絶テクのドラマーだ。
 YouTubeに挙げた投稿動画の再生回数は3200万回超え(2019年7月現在)。ラブリーな笑顔でドラムに向かうと、そこから生まれるのはパワフルなリズムの嵐。えー、こんなことできるの? 
というギャップの衝撃だけじゃなく、ドラムプレイの素晴らしさ、そのものにも注目が集まっている。
 むらたたむがドラムと出会った、そのなれそめから聞いてみた。
「私、中学生の頃は陸上部だったんですけど、けっこう早くて、走ってばかりいたんです。で、高校に入ったら絶対違うことやろうと思って、陸上部のない高校に進学しました。そこはチア部が有名だったので、チア部に入ろうと思ったんですけど、知り合ったばかりの友達が〝私、軽音部に行こうと思ってる〟っていうのを聞いて、じゃあついていこうって(笑)」
 主体性、ゼロじゃん! 
「はい(笑)。軽音部に入って、入ったからには何かやらなきゃ、と思って、何がやりたいの? って聞かれたときに、歌はカラオケで歌えるし、ギターとベースは兄がやっていたから家にあったし、ピアノを習っていたからキーボードは弾けるし、じゃあドラムにしようかなって。ここでやらなきゃ、その後の人生でドラムに触るチャンスはないかもしれないと思ったんです。で、やってみたらすごい面白くて」
 やってみたらって、左右の手足バラバラで動かすあの楽器が、そんなにすぐに出来るもの?
「それが、意外とできたんです、最初から。右手で8回叩いて、その何回目かに足でバスドラム踏んで、左手はこのとき一緒に叩いて、みたいな。そういうバラバラのものがタテに組み合わさる感じがすごい面白くて、それでハマりました」
 やっぱ、天才? なりゆきで軽音に入った女子が人気ドラマーに成長するまで、12年の間に何があったのか? 今週のYEOはこのむらたたむをヒロインに金曜日まで連日更新。YouTubeで彼女の演奏をチェックして、そのビートをBGMに、お楽しみ下さい!

  • 出演 :むらた たむ

    1992年9月25日生まれ、神奈川県出身。高校からセーラドラムスクール野口雅彦氏に師事。2013年~2017年、ガールズバンド『SORAMIMI』で活動。YouTube投稿動画は総再生回数3200万回を超える(2019年7月現在)。ソロでライブなどの活動を重ねるほか、多くのアーティストのサポート、海外フェスにも参加している。

    ホームページ https://muratatam.com/

    YouTubehttps://www.youtube.com/channel/UCfkjy4YQ-kSURgcXpthq7mg/videos

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/