幸先のいいスタートを切った、そのときの自信を〝いらないプライド〟と吉村優花が呼ぶのには、ワケがある。デビューから1年間、思うような結果が残せなかったのだ。
「全然うまくいきませんでした。思っていた世界と、違いました。オーディションには落ちまくる。現場に行ってもわからないことだらけ。せっかく仕事をしても、次につながらない。こんなにうまく回っていかないんだ、この世界は、って」
 ま、1年目なら無理もない、と思うけど。彼女はそんな自分が許せなかったらしく。
「2年目はストレスですごく痩せました。ものが食べられなくなって、6キロくらい落ちましたね。ほとんどウツかなって、病んでしまって。2年目は暗黒期だったんです。何もかもうまくいかない、何も楽しくない、マネジャーさんが取ってきてくれたドラマの仕事も、現場で全然楽しくなくて、自分を責めるばかりでした」
 転機となったのは、当時のマネジャーのひと言。『仕事が無い今だからこそ、ワークショップに行ったり演技トレーナーについて、いい意味で恥をかける場所を作るといいね』と。
「私、見ていた世界が狭かった、何も知らなかったんですね。女優をやりたいっていう気持ちが空回りするばかりで、演技トレーナーという存在がいることさえ、知らなかったんです。ワークショップには行っていたんですけど、そこは毎回、〝まぁいいんじゃない?〟で終わってしまうみたいなところでした(笑)」
 その帰り道、早速〈演技トレーナー レッスン〉で検索。一番上にあったところをチェックして、ここに行ってみよう、と直感的に決めた。
「そこに、暗黒期を脱する扉があったんです。人生が変わりました、大げさですけど(笑)。女優である前に人間としての私を作ってくれる場所です。トレーナーさんに〝優花は胆力が足りない〟と言われてしまって、でもちょっとずつ成長したと思うし。オーディションに落ちても、前は自分を全否定されたような気がしていたけど、今は〝今回はその役に合わなかっただけだ、次に向かおう!〟ってすぐに立ち直れるようになりましたし。やっているうちに、俳優という仕事、芝居って面白いなって、ちゃんと思えるようになりました。今、そこに通い始めて1年と3ヶ月経って、少しずつ明るい毎日になってきたんです」