吉村優花が「女優になりたい!」と最初に思ったのは、小学校5年生のとき。
「同じクラスの女の子がNHKの児童劇団に所属していて、彼女が主演する舞台を観に行ったことがあるんです。それまでお芝居とか知らなかったんですけど、舞台の上の彼女はキラキラ輝いていた。ふだん一緒に外を走り回っている女の子とは思えないくらい、全然違う、別人に見えました。それを見て、私もやりたい、と思いました」
 間もなく別の児童劇団に応募して合格したものの、諸般の事情で断念。それから数年後、今度は高校時代のクラスメイトが、背中を押した。
「私、男勝りな性格のクセに、どこかフワフワしていて、自分で自分の道を決めることができなかったんです。でも仲良くなった友達といろいろ話をしているうちに、『本当はお芝居したかったんだ』って話したら、『優花はそれ、やったほうがいいよ』って。そのひと言で、まるで魔法にかかったような気持ちになりました。怖がらずに、やりたいと思えたことには、純粋に挑戦したほうがいいのかなって」
 ちょうどそんな頃、雑誌が主宰するオーディションがあった。美男俳優を多数輩出しているジュノン・ボーイ・コンテストの美少女版、ジュノン・ガール・コンテストだ。
「それに応募したら、ファイナリストに残ったんです。でも、雑誌に掲載される前に学校の許可を申請したら、『今後、芸能活動をするなら退学してください』と言われました。私はそのつもりだったんですけど、親は反対でした。泣いて泣いて説得しようとしたんですけど、できなくて」
 それでもやっぱり『女優になる!』と意志が固まったのは、高校卒業を前にして。
「将来のことを真剣に考えたとき、やはり私は女優になりたい、と思いました。フツウの会社に勤めて毎日同じ場所に通う自分が、全然想像できなかった。このまま、挑戦しないわけにはいかない! と思いました」
 多摩美術大学の演劇舞踊デザイン学科に進学すると同時に、俳優養成所の1年コースに進んだ。事態が急展開したのは、それから1年後のこと。
 何があったかというと・・・・、明日に続く!