吉村優花が通っていた養成所は、レッスンが終わるタイミングで、公開オーディションが用意されていた。いろいろな芸能事務所のマネジャーが約300社集まり、卒業生ひとりひとりの自己アピールをチェック。『ウチと契約して欲しい』と思う事務所はすかさず意思表示するという、いわば昔の『スタ誕』方式。吉村優花もそれに参加して、声がかかった芸能事務所は、なんと300社中180社!
「その養成所の、歴代一位という記録でした」
 ちなみに、そのとき手を挙げた180社の中に、東映株式会社東京撮影所マネージメント部のU氏がいた。現在彼は、彼女のマネジャー。インタビューに同席していたので、その時オファーした真意を聞いた。
「直感です、彼女は良い、って。他にもたくさんいましたけど、飛び抜けていました。彼女しかいない、と思いました」
 順調に事務所も決まり、女優生活は華々しくスタート!
「事務所に入ってすぐ、初めて受けたCMのオーディションも、すんなり決まったんです。けっこう大きなお仕事でした。そこで私、やってきたことは間違いじゃなかった、と自信を持ちました。これでみんなに名前を知ってもらって、女優としてどんどん活動していけるはずだ、と、思い込んでしまった。こんなことを言うの恥ずかしいんですけど、『この世界は私を待っていてくれたんだ!』って(笑)。天狗になったつもりはないんですけれど、今にして思えば、いらないプライドを持ってしまったんです。はい、ハタチの時です」