1 サハラマラソン完走、そして次は・・・
ヤハラ リカ
- Magazine ID: 3840
- Posted: 2019.03.11
ヤハラリカは2年前、世界で最も過酷と言われる「サハラマラソン」を完走した。出発前にこのYEOに登場(2017年3月27日/矢原里夏)したときは、こう言っていた。
「私は灼熱の砂漠を走ったことがないし、250キロという距離も経験がありません。だから完走できるのか、わからない。でも〝止めない〟という選択肢だけは自分にあるので、やれると思います。できると思います」
そして言葉通り、彼女はサハラマラソンを完走した。
「泣きながら、でした(笑)。一番つらかったのは第4ステージのオーバーナイトラン。朝出発して、80キロ以上の距離を走って次の日の昼くらいまでに戻ってくる、というものなんです。夜になるとみんなから遅れてしまって、まわりに誰もいなくなって、月明かりしかない真っ暗な状態の中、ひとりで歩き続けました。目印に、100均で売っているような、ポキンと折ると光るライト、ありますよね、あれが砂に突き刺さっているんですけど、砂漠には起伏があるから、谷底に入ると見えないんですよ。本当に孤独過ぎて、怖くて、泣いて、また歩いて」
もちろん、うれしい瞬間もたくさんあった。
「砂漠は地の果て、何も無い場所だと思っていたんですけど、行ってみたらすごいキレイな大自然でした! 大砂丘もある、ガケもある、岩場もある、植物だって生えているし、生き物もいるんです。ですから昼間、風景が見えている間は、テンションあがりました。こういうチャンスだからこんな大自然の中を走れるんだ、すごい!って」
7日間、風呂にも入れず、トイレもない。ただひたすら砂漠を進むサハラマラソンを完走したことは、大きな経験になったはず。自信もついたのでは?
「いえいえ、それが全然。逆に、自分のちっぽけさを痛感しました。参加者の中には目が見えない人とか、両手がない方とか、片足を失った元兵士の方とかいらして、私は何を脅えていたんだろう?って思いました。それに、すごい能力の人達もたくさんいて、トップグループの選手は私たちの2時間遅れくらいでスタートするステージがあるんですけど、あっという間に追い抜かれるんです。めちゃくちゃ早いんです。砂丘にぶつかると、蟻地獄のアリみたいな気分で這い上がる私たちを尻目に、その人たちは駆け上って行く。すごいなーって(笑)。それに比べて自分はなんてちっぽけな存在なんだろう、って。ちっぽけはちっぽけなりに頑張ろうって、そんな感じです。だから『サハラで完走したヤハラです!』なんて胸を張るつもりは全然なくて」
ただ走るだけではなく、自給自足のため、固形燃料や食糧まで自分で運ぶハードな毎日。毒蛇に噛まれた時に対応するグッズまで必携という極限状況。そんな中、一番大変だったのは?
「今思うと、スタートラインに立つことが、一番難しかったです。そこまでの勇気とか時間とかお金とか。中には『ヤハラにできたのだから自分でもできる』って言う人もいるけど、でも、本当にやってみる人は少ないですよね。私にもできたのだから、きっと誰にでもできます。スタートラインに立てば、です。そこが一番、難しいんです」
そんなヤハラリカはサハラマラソン以降、さらにいろんな試練に直面し、乗り越えてきた。そして新たな挑戦を前にしている。
今週のYEOは、月曜日から金曜日まで連日更新しながら、ヤハラリカに併走します!
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出演 :やはら りか
1984年生まれ。中学・高校時代はハンドボール選手として活躍。大学卒業後、一般企業に就職したが2年で退社。バックパッカーとして世界各地を旅する。2009年、第1回FYTTE専属モデルオーディションに応募、未来賞を受賞し、モデルデビュー。2011年東京マラソンにエントリーし、マラソンに興味を持つ。2017年には世界で最も過酷と言われる自給自足のウルトラトレイルレース「サハラマラソン(250㎞/7日間)を完走。現在はTVやラジオなどのスポーツ中継、リポーター、MCとして活躍中。
ツィッター https://twitter.com/rika_yahara
インスタグラムhttps://instagrammernews.com/user/1434715550
【クラウドファンディング実施中】
ナミブ砂漠で行われるウルトラトレイルレースに挑戦。6月に中国で行われるビーチハンドボールアジア選手権・日本代表チームの遠征費用に向けたもの。All-in方式。3月24日23時59分まで。
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取材/文:岡本麻佑
国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/