ギャル系雑誌のモデルから、垣内綾子は歌手、アイドルへと活動範囲を拡張。21歳頃には東京に拠点を移して、バンド活動も始めた。とはいえ、生活になるほど稼げることはなく、アルバイト感覚で、某通信会社の営業職にもついた。
「営業なんて向いてない、むしろ嫌だななんて思っていたけど、時間の融通もきくしお給料が良いから割り切って始めたんです。そこはバリバリの男ばかりの営業会社でした。でも気付いたら私、けっこう営業成績が良くこの仕事が向いてることに気がつきました」
 そして27歳のとき、垣内は突然、立ち止まった。
「このままで終わりたくないって思ったんです。何か自分が没頭できるものが欲しかった。何かを人に伝える仕事がしたくなった。でもそれが何か、わからない。音楽なのか美容なのか、、それ以外なのか、それで、それまでの全部、いったん捨てて、ニューヨークに行きました」
 そこで出会ったのが、まつエクだった。当時はまだそれほどポピュラーではなく日本でもすこし経験あった程度、(ただその時は皮膚に思いっきり装着され、とても痛かった)NYでアジア人だけでなく米人でもやりだしているこの技術を見て、垣内はピンと来た、という。
「まつげだけで人生が変わるって、私は知っていましたから。これは受ける、と確信したんです。思い立ったら即行動いったん日本に戻ってスクールに入り、まつエクの技術を身につけました。マスターしてからまたすぐニューヨークに行き、いろんな人にまつエクをしてあげたり、ファッションショーのバックステージに行って羽根まつげをつけてあげたり、いろんな活動をしました」
 帰国後、サロンに入り、まつエク技術者として働いた。
毎日毎日1人1人のお客様を対応し、喜んでいただけるのはとても嬉しかったですが、1日対応出来る人数が限られている中、もっと多くのお客様に喜んでいただける方法はないか?と考えるようになり、自分がやっていることを教えるマネージメントする立場になっていきました。その結果サロン業績も伸び人が育っていく姿、そしてそれによりお客様が幸せになっていく姿をみてとても嬉しかったです。
いつしか会社の組織を大きくしたり、人を育てる仕事のほうが、ワクワクするようになりました.
ただ、自分に上司はいる環境ではなく独学でやらせてもらっていて学べる環境ではなかったのもあり
「そこで一からマネジメントを学ぼうと、また以前働いていた通信会社の営業職に戻りました。前はアルバイト感覚だったけれど、今度はさらに真剣に。美容とは全く関係のない商材でB to Bの営業だったんですが、お客様が喜んでいただけることを目標に取り組みました。そして同時にマネージメントも学ばせていただくことができ、どんどん優秀な後輩を育てていくこともできました。
すると私、成績は常にとても良く時には全国大会などで優勝しました。
 たぶん、売ろうとしなかったから、売れたんだと思います。商品をちゃんと理解して、好きになって、自分が納得して、その良さをうまく伝えることだけを考えてしました。お客さんがこれを買わないとお客さまが損をする。そう思えたから、お客さまにハッピーになって欲しいから、誠心誠意お客さまにお伝えしていたら、勝手に商品が売れていった、ということです。ですから自分が良いと惚れ込んだモノを売るのは、自信があります」
 まつエクという技術と、マネージメントと営業センスと。垣内の中でこのふたつが、2本柱となっていく。
「ちょうどその頃、NY時代の友達が福井にいて、声をかけてくれたんです。〝福井にはまつげサロンがないから、自分で会社を作ってサロンを開いたらどう?〟って。そんな気、さらさらなかったけれど、いざ福井に足を運んで街を見てみたら、だんだん〝できるかも!〟という気がしてきました。福井に一号店をオープンして、おかげさまで順調です。今6年目に入ったところですけど現在8店舗にまで成長しました」

  • 出演 :垣内綾子  かきうち あやこ

    目元プロデューサー。雑誌モデル、歌手として活躍するかたわら、営業職でも成果を上げる。27歳で渡米、ニューヨークで〈まつげエクステ〉と出会い、2012年4月日本でまつげエクステのサロン『MANHATTAN』一号店をオープン、現在は国内 東京恵比寿本店とし7店舗、アメリカにも1店舗を展開。
    アメリカ店でも技術の高さが話題になり美容口コミサイトで5つ星獲得するほど人気店へ

  • 公式ホームページ(FB ・ツィッター・インスタグラムへのリンクあり) http://manhattan-eyelash.com/

  • 『人生が動き出す! ナチュラルデカ目の作り方―奥二重 一重 小さい目 たるみ目 離れた目 腫れぼったい目―』
    まつげエクステのサロン『MANHATTAN』の経営者として、アイリストとして何千人という女性たちの〝目元の悩み〟に向き合って来た垣内綾子が、自身の経験をもとに、目元プロデューサーとして知恵とアイデアを詰め込んだ一冊。コンプレックスを解消してみんなをハッピーにしたい、という想いから、まつげエクステだけでなく光を利用した若見せのハウツーや脳の錯覚を利用した(発想の転換)などのメイクのテクニック、など簡単に出来る引き算メイクなどを提案。悩める女子をコンプレックスから解放し、さらに心から美しくしてくれる。

  • ヘアメイク イワタユイナ 

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/