古城里紗のアーティストとしての出発点は、アメリカのボストン郊外。高校進学時に家庭の事情で、東京から移住した。当初は英語があまり話せなかったため、ハイスクールの選択科目で選んだのは、しゃべらなくてもいいアート。ドローイングからペインティング、油絵に写真、陶芸に3Dと、ありとあらゆるアートにトライしたという。
「私の創ったアートが勝手にみんなとコミュニケーションし始めるのが、とてもおもしろかったですね。ヴィジュアル・ランゲージとしてのアートに興味が湧いてきて、大学はアメリカで一番アートを楽しめる学校を探して、ニューヨークの学校に決めました。アートを突き詰めていけば、アートディレクターとして空間とか場を演出することもできる。その可能性も大きな魅力でした」
 大学を卒業後は、ニューヨークでグラフィックデザイナーとして活動を開始。
「仕事は順調でした。でも私の原点は、手を動かして作品を創るということ。パソコンだけで完結する仕事はどうしてもストレスになるので、バランスを保つために、自分の作品を創ることにしたんです」
 自分の作品の、テーマは先に決まっていた。アンデルセンの『絵のない絵本』だ。
「そのコンセプトとマッチする表現方法が見つからずにいたんですが、ふと、切り絵にしようと思い立ったんです。試しにひとつ創ってみたら、しっくりきた。これをもっとやりたい、と思いました」
 彼女は創作に、コンピュータを使わない。手で描き、手で切る。気の遠くなるような緻密な作業が、続く。
「朝仕事を始めて、気が付いたら夕方になっていた、ということがよくあります。そうやって集中して仕事をするのが、好きみたいです」

  • 出演 : 古城里紗 こじょう りさ

    図案師  1981年盛岡生まれの東京育ち。1996年ボストン郊外に移住。2004年ニューヨークのSchool of Visual Artsを卒業。グラフィックデザイナーとして活動後、帰国。2010年三重県伊勢市に滞在し、伊勢型紙と出逢う。2011年頃から図案師として学び始め、活動を開始。2013年からは〝職人の手仕事に触れる体感をする〟ワークショップなどの企画運営を開始。2015年多様な伝統染織の職人とともにプロジェクトを立ちあげた。 
    ホームページ http://risakojo.com/

    イベント情報 : 第一回『カタコトの会』展 5/30-6/4
    http://seiwa-net.jp/ap/NList02.dll/?No=NS015823&CL=800&CT=010&ctg=2b

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/