ビリー役のオーディションの応募資格は、プロ・アマを問わず11歳の少年を演じられる男性。身長147センチ以下で、声変わりをしていないことが条件だ。バレエ、タップ、アクロバット、歌などができればなお良し、と書いてある。

 山城力クン(中)は、ダンス経験はほとんどないまま、応募した。

「ダンス好きな友だちがビリーの映画を教えてくれて、見たらすごく感動して、とりあえずやりたいと思って応募しました。まだタップとバレエを習い始めて5ヶ月ですけど、ダンス自体が楽しくて、すごく好きです」

 前田晴翔クン(右)も、バレエ歴はゼロ。とはいえ、ヒップホップダンスが得意で、アメリカのダンス大会で優勝したこともあるという。

「優勝したときに、このオーディションのことを教えてもらって応募するよう薦められました。僕が尊敬しているヒップホップの先生とか、ダンスをやっている人はバレエ経験者が多いので、僕もあんなにうまくなれるならバレエをやってみたいと思いました」

 木村咲哉クン(左)は、バレエ歴5年。

「ビリーのDVDを見たら、すごい技をやっていて、僕もやりたいと思ったのがきっかけです。この舞台のためにレッスンしていると、すごく楽しいです」

 初々しい3人を見て、リアムも自分の昔を思い出したよう。

「僕も6ヶ月間くらいオーディション期間があって、最初はたくさんいたのにどんどん人数が減って、8人くらいに絞られていった。後半の3ヶ月で集中的にワークショップをして、最後の1週間で3人に決まったんです。初めてビリーの舞台に立ったときは、ワクワクして、アドレナリンがわーっと出てくるような感じ。他のキャストに支えられて、すごく楽しかったのを覚えています。もちろん、振付を間違えたこともありますよ。着替えが間に合わなかったり、舞台の上で転んだり滑ったりしたこともあった(笑)。でも、それが普通なんだ。ちょっと間違えるくらい、気にしないで。練習を重ねることで、どんどん良くなっていくからね」

  • 出演:『BILLY ELLIOT』(ビリー・エリオット)

    ミュージカルビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』
    英国発の大ヒット・ミュージカル。本作は『リトル・ダンサー』の邦題で上映された映画『BILLY ELLIOT』をミュージカル化した舞台。2005年5月にロンドンで開幕し、10年以上ロングラン上演され、現在もツアー公演中。日本は来年の夏から秋にかけて、東京(TBS赤坂ACTシアター)と大阪(梅田芸術劇場 メインホール)で公演予定。

    [あらすじ]1984年、イギリス北部の炭鉱町で育ったビリーは、父親の勧めでボクシングを習っていたが、ある時、隣の教室でやっていたバレエ教室に心惹かれ、こっそりと習うようになる。当時は女の子のためのものとされていたバレエに夢中になっていくビリーは教師に認められ、名門「ロイヤル・バレエスクール」のオーディションを受けるよう薦められる。男手一つで息子を育ててきた父は、男は逞しく育つべきだと強く反対していたが、ある晩ビリーが一人踊っている姿を見てビリーの溢れる情熱と才能、そして”バレエダンサーになる”という強い思いを知り、何とか夢を叶えてやりたい、自分とは違う世界を見せてやりたい、と思うようになる。
    家族との軋轢、亡き母親への想い、祖母の温かい応援。度重なる苦難を乗り越えながら、11歳の少年ビリーが追い求める夢は家族全員の夢となり、やがて街全体の夢となっていく・・・

    [公演情報]

    2017年
    7月中旬~10月上旬 〈東京〉TBS赤坂ACTシアター
    10月中旬~11月上旬 〈大阪〉梅田芸術劇場 メインホール
    オフィシャルサイト http://www.billyjapan.com/

    公式twitter @Billy_Japan
    音楽 エルトン・ジョン
    脚本・歌詞 リー・ホール
    演出 スティーヴン・ダルドリー
    主催 TBS ホリプロ 梅田芸術劇場
    Billy Elliot the Musical worldwide is produced worldwide by Universal Stage Productions, Working Title Films and Old Vic Productions and is based on the Universal Pictures/Studio Canal film.

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/