この日、7人のビリー候補生たちは朝から大興奮。渋谷シアター・オーブで『マシュー・ボーンの眠れる森の美女』に出演中のリアム・ムーアに会えることになったのだ。

 リアム・ムーアは2005年に『ビリー・エリオット』が初めて上演されたとき、ビリーを演じた3人の子役のひとり。舞台は大絶賛され、イギリス演劇界の最高峰であるローレンス・オリヴィエ賞を総なめにした。ビリーを演じた3人は最優秀主演賞を同時に受賞し、当時13歳だったリアムは史上最年少の受賞者に。また2014年に公開された映画『ビリー・エリオット ザ・ミュージカルライブ』では成長したビリーとして登場、名ダンサーとなった今の姿を披露している。いわばビリー中のビリーとして、憧れの的なのだ。

 昼の部を終えた直後、リアムは急いでメイクを落とし、7人が待つ部屋へ。

「やあ、みんなに会えてうれしいです!」

「もうトレーニングは受けているの? もともとバレエをやっていたの? すごいね」

 ひとりひとりに笑顔で話しかける、フランクで優しいお兄さんだ。

 7人はそれぞれひとつずつ、リアムに質問を用意してきた。どの質問にも、真剣に答えてくれるリアム。そのやりとりを聞くうちに、ビリーという役の面白さ、難しさが見えてきた。候補生ひとりひとりの個性や魅力と合わせて、明日からのYEOで紹介します!

  • 出演:『BILLY ELLIOT』(ビリー・エリオット)

    ミュージカルビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』
    英国発の大ヒット・ミュージカル。本作は『リトル・ダンサー』の邦題で上映された映画『BILLY ELLIOT』をミュージカル化した舞台。2005年5月にロンドンで開幕し、10年以上ロングラン上演され、現在もツアー公演中。日本は来年の夏から秋にかけて、東京(TBS赤坂ACTシアター)と大阪(梅田芸術劇場 メインホール)で公演予定。

    [あらすじ]1984年、イギリス北部の炭鉱町で育ったビリーは、父親の勧めでボクシングを習っていたが、ある時、隣の教室でやっていたバレエ教室に心惹かれ、こっそりと習うようになる。当時は女の子のためのものとされていたバレエに夢中になっていくビリーは教師に認められ、名門「ロイヤル・バレエスクール」のオーディションを受けるよう薦められる。男手一つで息子を育ててきた父は、男は逞しく育つべきだと強く反対していたが、ある晩ビリーが一人踊っている姿を見てビリーの溢れる情熱と才能、そして”バレエダンサーになる”という強い思いを知り、何とか夢を叶えてやりたい、自分とは違う世界を見せてやりたい、と思うようになる。
    家族との軋轢、亡き母親への想い、祖母の温かい応援。度重なる苦難を乗り越えながら、11歳の少年ビリーが追い求める夢は家族全員の夢となり、やがて街全体の夢となっていく・・・

    [公演情報]

    2017年
    7月中旬~10月上旬 〈東京〉TBS赤坂ACTシアター
    10月中旬~11月上旬 〈大阪〉梅田芸術劇場 メインホール
    オフィシャルサイト http://www.billyjapan.com/

    公式twitter @Billy_Japan
    音楽 エルトン・ジョン
    脚本・歌詞 リー・ホール
    演出 スティーヴン・ダルドリー
    主催 TBS ホリプロ 梅田芸術劇場
    Billy Elliot the Musical worldwide is produced worldwide by Universal Stage Productions, Working Title Films and Old Vic Productions and is based on the Universal Pictures/Studio Canal film.

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/