オフィシャルのプロフィールには「お江戸に詳しすぎるタレント=お江戸ル(お江戸のアイドル?!)」というキャッチ・フレーズが載っている。このポップでカワイイ肩書通り、彼女はとても可愛い。でもって「お江戸に詳しすぎる」部分がもう半端ない。「詳しすぎる」を通り越して今や歴史家、歴史研究者と堂々と名乗っても誰も文句は言うまい。でもそう名乗らない。デビュー以来ずっと彼女は可愛くポップに江戸を語り、また書き続ける。その理由はなんなのか、彼女ルーツを掘り下げて答えを探してみよう。

「とにかく活字が好きで、小4までに学校の図書室にある本は全部読んでしまいました。次に何を読もうかと。で、父親の書棚に手を出したんです。それが司馬遼太郎先生の『燃えよ剣』だったんです。
 おじいいちゃん、おばあちゃん子だったから、小さい頃から時代劇はずっと観ていたんです。物心ついた時からお侍さんの世界にあこがれていました。だから『燃えよ剣』は武士とかサムライの話なんだろうなあと思って手にしたんだと思います。
 子供だったから幕末とか新撰組とか全く知らなかったんです。当時まだ幕末をテーマにしたゲームやアニメもなくて、学校の授業でも習っていませんでした。その世界をいきなり文字で提供されて、読んでみたら面白かった」

 彼女の初恋はまさにこの時、物語の中に登場する沖田総司だった。この運命の出会いが現在のお仕事に直結している。というかこの初恋が今も続いているのではないか? 恋を知ってしまった少女は次なる行動へ移る。さらに相手のことを深く知ろうと次々に本を読みだした。それも膨大な量を。小4の時点で図書室の本を全部読んだのにも驚くが、彼女はそんなもんじゃなかった。

「それからお父さんの書棚にある司馬先生の本を読破して幕末もののいろいろな本を読みだしたんです。小学生なので自分で本を買うことができなかったので、区の図書館に行って『新撰組』がタイトルに付いた本を全部読み切って、次どうしよう? と思って自分でいろいろ調べ出したのが中学生くらい」

 どうでしょうこの一途さ。多くの少年少女がアイドルを好きになるように、彼女は歴史に恋をした。ただその熱量が尋常ではなかった。

  • 出演:堀口茉純(ほりぐち ますみ)

    1983年6月11日生まれ、東京都足立区出身。女優、タレント、歴史の水先案内人、通称ほーりー。江戸文化歴史検定1級、英語技能検定2級、中国語検定3級、ドラえもん検定博士号。趣味はアニメ、漫画鑑賞。アニソン熱唱。コスプレ。

    オフィシャルサイト http://hoollii.com

    レギュラーイベント

    UKIYOEナイト(毎週第四木曜日)
    場所:浅草 アミューズミュージアム
    時間:会場18時、開演18時30分
    チケット:前売り1620円、当日2160円
    オフィシャルサイト http://www.amusemuseum.com/blog/2011/07/ukiyoe-night.shtml

    新刊本

    「江戸はスゴイ~世界一幸せな人々の浮世ぐらし~」
    9月16日発売 PHP新書 定価880円(税別)

     

  • 取材/文:横田一郎

    お江戸とロックと酒と猫とサイクルロードレースが好き。好きな時代劇は「御家人斬九郎」。飼い猫の名前はコンタドール。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/