ミサコさんの2冊目のコミック〝Rock and Roll Love〟は、NY公立図書館が選ぶベスト・ティーンズブックの一冊に選出された。それまでの波瀾万丈な人生を題材にした自伝的作品だ。YEOでもざっと紹介すると・・・・。
 生まれ育ったのは埼玉県の加須市。

「本当にド田舎の何にもないとこで、しかも私は素直な子だったので、テレビの金曜ロードショーで流れる洋画、特にアメリカ映画からモロ影響を受けちゃったんです。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマイケル・J・フォックスが大好きになっちゃって、彼に会うためにアメリカに行く! それには留学しかない! あ、法政大学には奨学金制度がある。じゃあそこに入ろう! と」

 猛勉強して見事、初志貫徹。大学4年生のときに留学した。ところが留学先のミズーリ州は保守的な土地柄。マイノリティへの風向きが強かった。

「空港に着いた瞬間、ピリッピリッと、冷たい視線が突き刺さってきました。あー、私、歓迎されてない。ヤバイとこに来ちゃったなって」

 とはいえ、せっかく留学したのだから、地元の学生たちと交流しなくちゃ意味がない。

「毎日、紫とか赤とか黄色のジーンズをとっかえひっかえ履いて、髪は2週間ごとに赤とかオレンジに染め変えました。おかげで私という人間がいるということが強烈に認知されて、ついたあだ名が〝クレイジー・ジャパニーズ・パンク〟(笑)。そんな頃、カフェテリアに並んでいたら男の子が来て、いきなり壁ドンされて〝俺のライブ、来る?〟って。私のアメリカ生活はそこから本格的に始まりました。1999年の壁ドンです(笑)」

 留学中に学んだのは、自立の精神。

「アメリカの子たちって、18歳で家を出るんです。自立して自活して、奨学金で大学に行く。だから自己主張もちゃんとする。全部親に依存している日本人学生とは違うんです。それを目の当たりにして、すごいリスペクトしました。いつか彼らと対等になってやろうって思ったし、人間的に成長できたと思います」

  • 出演:ミサコ・ロックス

    法政大学在学中に奨学金派遣留学で渡米。卒業後、人形師を目指しNYに渡ったが、挫折。ホームレス、中学の美術講師など迷走期間を経て、全米でマンガ家デビューを果たした。NYタイムス、NHKドキュメンタリー、BBCドキュメンタリーなどで紹介されたことも。日本ではコミックエッセイ『もうガイジンにしました』自己啓発書『理由とか目的とか何だっていいじゃん! チャレンジしなくちゃ後悔もできない』(ディスカバー21)を出版。

    オフィシャル・ブログ
    http://www.misakorocks.com

    HAIR&MAKEUP : 小椋ケンイチ

    オフィシャル・ブログ
    http://ameblo.jp/ogune/

    STYLIST : 淵上優樹

    衣装/ドレス : VIVIENNE TAM、ジャケット : スタイリスト私物

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『BAILA』『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/