取材の最後に、大田さんの先輩・川崎さんがやっている築地『Ｔｕｒｒｅｔ　ＣＯＦＦＥＥ』へ。ドトールとスターバックスのすぐそばという立地条件にもかかわらず、ラテ好きの常連客がひっきりなしに訪れる､知る人ぞ知る名店だ。立ち寄ったカップルのために、大田さんは女性には可愛いチューリップ模様の、男性には葉っぱ模様のラテを作った。

「男性はハート模様だと恥ずかしがる人が多いんですよ(笑)。

　カフェに来るのは何か飲むためですけど、その飲み物がアートになっていたら、ちょっとハッピーになりますよね。ちょっとした、本当にちょっとしたことですけど、それがラ・テ・アートの魅力なのかなって。気分転換したいときの、なにかしらアクセントになればいい。日常生活の中でほんの一瞬、〝ラッキー！〟って思って欲しい」

　それは同時に、大田さん自身の〝ラッキー！〟でもある。

「僕自身、コーヒーを淹れるだけが楽しいんじゃなくて、お客様の反応とか、顔を見ながら淹れるのが楽しいんです。それでちょっとした会話ができたら、もっとうれしい」

　現在31歳、これからは？

「店に出る以外の仕事の話も少しずついただいていますし、そうやって視野を広げながら自分でケータリングやワークショップ、バリスタ･トレーニングを開いたりして、少しずつ自分の店を開く準備が出来たらいいですね。世界チャンピオンになるという夢が目標になって、実現してしまったので、いつかお店を持ちたいという夢がもっと身近な、目標に変わってしまったんですよ(笑)。あと、ラテアートの本を出したい。ただ････、お店を保つのは３年じゃ無理かな、でもいつか、必ず！」