バリスタの道を歩み出してからは、ラテアートの世界大会に出場することが夢だったという大田さん。まずは2012年９月、シアトル大会に出場した。アルバイトで貯めた資金を使って、自腹で世界への挑戦だ。

「変な自信だけはあって、優勝するつもりでした(笑)。でもベスト８で負けちゃって、次のニューヨーク大会ではベスト16、2013年の10月ではベスト４でした。でも３位以下には賞金も賞品も出ないから、すげえ悔しくて」

　６回目のチャレンジ、2014年10月のポートランド大会で見事優勝をゲットした。

「チャンピオン獲るまで、毎日お店で練習していました。この店はラテアートに特化してるので、大会に出場するために練習などで協力してくれたんですよ。豆や牛乳を持ち込んでは、1年間に300日はやっていたと思います。こんなふうに環境が整っていていたら、努力するしかないじゃないですか。良い環境があるのに努力しなかったら、怠慢ですよね」

　でもあの、世界チャンピオンになっても、アルバイトのまま、ですか？

「ですね(笑)。社員に、というお話もいただいたんですけど、社員になっちゃうと、裏でパソコンをカタカタしてることが多くなっちゃうじゃないですか。そういうイメージじゃないって言われるんで(笑)。僕もデスクに座るようなイメージはないし、常にカウンターに立ってお客様に接していたいんです。とは言っても世界チャンピオンになったので、今後はフリーランスでの契約になるかもしれませんが(笑)。何よりも僕、この店が大好きなんですよ。メルセデスベンツを見ながら僕のラテを飲んでいただけるんですから。皆さんに来て欲しいですね」