#3 喝采の魔力
矢野聖人
- Magazine ID: 1843
- Posted: 2014.11.19
2014年、3作の出演映画が公開された矢野聖人さん。4月には『サクラサク』、10月には『ふしぎな岬の物語』、そして11月8日に『最後の命』。個人的にも映画が大好きだそうですが、矢野さんにとって、映画の魅力とは?
「1つの台本に長い期間向き合うことで、自分のすべてをとことんぶつけられる。ドラマや舞台で自分が経験してきたものをすべて出すのが映画かな。それから、ロケが多いので好きです!」
そうそう、ロケ先ではひとりでバーに出没するという話を聞きました。撮影中に時間が空いたら街に出る?
「はい。知らない街ほどおもしろい! 人見知りなんですけど、地方に行くと開放的になれるというか、積極的になれる感じがします。バーは一人で来ているお客さんが多いので話しやすかったり、お店の人が話しかけてくれたりするので、居心地がいいですね」
地方に行ったら最初の空き時間でバーをはしごしてリサーチ、次に気に入った店に行くという。なかなかスマートです。弱冠22歳にして。知り合った人たちとはその場限りではなく、今も連絡を取り合っているとか。人見知りなのに社交性はあるようですね。
ところで、蜷川幸雄氏演出の『身毒丸』のオーディションに合格してから、もうすぐ5年。あらためてお聞きしますが、役者という仕事は好きですか?
「好きです(即答するが、そのあとなぜか考え込む)。……この仕事を続けたいと思ったのは、『身毒丸』の本番初日。カーテンコールを肌で感じたときに、それまで知らなかった感覚を味わって。こういうことを感じることができる仕事っていいなと思って」
『身毒丸』では稽古中あまりの厳しさに何度も「本番が終わったら辞めよう」と思ったとか。しかし、喝采を受けた瞬間から、役者を辞めようと思ったことは一度もないそうです。虜になったのは、舞台の魅力? それとも魔力?
舞台では蜷川作品に3作も出演したこと、映画では吉永小百合さんや藤竜也さんといったベテラン勢と共演したこと。ここ2年の経験が、役者・矢野聖人を大いに成長させたようです。「だからこそ、結果を出さなければ」という矢野さん。
「結果というのは、次の仕事だと思っています。1つの作品に出演することによって、次の出演作が決まること。とにかく今は、いろいろなことに挑戦することが一番成長に繋がるかと」
ところで、矢野さんは役者業だけでなくモデルの仕事もこなしている。役者以外の矢野聖人とは?
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出演:矢野聖人
1991年東京都生まれ。蜷川幸雄演出の舞台『身毒丸』のオーディションで8523人の応募者のなかから選ばれ、デビュー。その後、2011年『身毒丸』を好演。その他ドラマ『GOLD』『リーガルハイ』『GTO』、映画『天国からのエール』、『サクラサク』、舞台『ヘンリー四世』『ロミオとジュリエット』に出演。今後は『リーガルハイSP』(11月22日21:00~CX)、映画『でーれーガールズ』(2015年2月公開)に出演。現在、 映画『ふしぎな岬の物語』『最後の命』(松本准平監督・中村文則原作)が公開中。
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取材 / 文:加藤いづみ
コピーライター。東京都出身。成城大学文芸学部卒。広告、SP、WEBのコピーライティング、企画のほか、1996年より某企業のPR冊子(月刊)制作を継続して手がけている。
https://www.facebook.com/mi.company -
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://www.haginiwa.com/