『JiLL-Decoy association』(ジル・デコイ・アソシエイション)というユニット名について、chihiRoが説明してくれた。

「どんな名前にしようか、辞書を見ながら考えているときに、Decoyという単語を見つけたんです。囮(おとり)っていう意味がなんかカッコいいなって。鴨猟をするときダックデコイをおとりに使うように、人がこう、おびき寄せられるような音楽を作りたい。例えばJILLちゃんというカワイイ女の子をおとり(Decoy)に、人々を誘い寄せるような集合体(association)はどうだろう?って」

 おとりを使わなければならないのは、彼らが愛するジャズというジャンルが現代の日本では、あまりポピュラーなものではないからだ。towadaが言う。

「ジャズは確かに他の音楽に比べて、ルールとか暗黙の了解みたいなものが多いので、楽しいと感じるまでに時間がかかる、かもしれない。でも僕らは敷居が高いそのジャズを、馴染みやすいものにしたいんです。同時にジャズは、敷居が高いからこそ価値がある、とも言える。敷居を低くしたいけど、その敷居の高さも愉しんで欲しい。そのつじつまの合わなさこそ、ジルデコなんです(笑)」

 結成以来12年。その間には、ケンカもあれば危機もあった。

「でも〝とりあえず続けて行こう、めざせ50年!〟っていうのが、結成当時からの僕らのスタンスです。ジャズはセッションとか、一期一会で作り出される音を愛でる傾向が強いけど、逆にじっくりと同じメンバーでやっていったら、なにか新しいものが生まれるかも知れない。それに僕らは、ジャズというジャンルにとどまらずに、ジルデコというジャンルになりたい。その両方を実現しているサザン・オールスターズみたいなバンドを、僕らはすごく尊敬しています」

 この記事を読んでくれた人にはぜひ、ジルデコの音を体感して欲しい。きっとあなたも、おびき寄せられるはず、だから。

『ジルデコ6〜Just a Hunch』

2014年10月22日発売
発売元 : VICTOR ENTERTAINMENT
仕様 / 品番 / 価格
<初回生産限定盤CD+ライブDVD >VIZL-732 / ¥3,400+消費税
<通常盤CD >VICL-64237 / ¥2,900+消費税
http://www.jilldecoy.com/disco/3476

  • 出演:JiLL-Decoy association ジルデコイ・アソシエーション 通称ジルデコ

    2002年に結成された、ヴォーカルchihiRo、ギターkubota、ドラムtowadaの3人で構成されるユニット。ジャズ/ポップス/ロックをベースに、クオリティの高いオリジナルな世界を構築している。高い演奏力を誇り、ライブやジャズフェスには多くのファンが集結。5枚目のアルバム『ジルデコ5』は第55回日本レコード大賞の優秀アルバム賞を受賞した。

  • 取材/文:岡本麻佑

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/