ジルデコの歌姫chihiRoは、とってもフツウの人らしい。

「オフになるとウチで家事をしてるか、スーパーに買い物に行くか、犬とゴロゴロしてるか(笑)。趣味の音楽を仕事にしてしまったので、他にすること思いつかないんです。その自分のフツウさが昔は本当にコンプレックスだった。逆境をバネにクリエイトするっていうほうがカッコいいような気がして。こういう取材でも、ちょっと過激なことを言うべきじゃないかって考えたり(笑)」

 他のふたりも、chihiRoの人となりについて、こう証言する。

「まともな人です。基本的に女性としての愛情や母性にあふれているし、たまにドケチだったりもするけど経済観念もある。結成して12年経つけど、最近やっと、俺もステージに立つchihiRoがカッコいいと思うようになってきた。それでも相変わらずフツウのねえちゃんの部分を大事にしてるのが、いいよね(kubota)」

「今でもたまに〝本当は私OL志望だった〟なんて、なめくさったこと言うけどね(笑)(towada)」

 だけどそのフツウさがあるからこそ、彼女の書く詞にはリアリティがある。

「30女のリアルみたいな詞を書いたときには、女性からすごく支持してもらいました。男受けしませんでしたけど(笑)」

 そんな彼女が人生で最初に感動した曲は、『小公女セーラ』のテーマソング。

「今考えるとすごくベタな哀愁漂うメロディなんですけど、本当に感動しちゃって、幼稚園から家に帰ると毎日、リビングで熱唱してました」

 今はもう、自分のフツウさが嫌いじゃない。

「ライブで感じたんです、自分をさらけ出したときにこそ、お客さんはこっちに飛び込んできてくれるって。その感覚をつかんだときから、一番大事なのは〝どこまで自分でいられるか〟だと思うようになった。私にはこれしかできないんです。だから、このままで行こうかなって」

『ジルデコ6〜Just a Hunch』

2014年10月22日発売
発売元 : VICTOR ENTERTAINMENT
仕様 / 品番 / 価格
<初回生産限定盤CD+ライブDVD> VIZL-732 / ¥3,400+消費税
<通常盤CD > VICL-64237 / ¥2,900+消費税
http://www.jilldecoy.com/disco/3476

  • 出演:JiLL-Decoy association ジルデコイ・アソシエーション 通称ジルデコ

    2002年に結成された、ヴォーカルchihiRo、ギターkubota、ドラムtowadaの3人で構成されるユニット。ジャズ/ポップス/ロックをベースに、クオリティの高いオリジナルな世界を構築している。高い演奏力を誇り、ライブやジャズフェスには多くのファンが集結。5枚目のアルバム『ジルデコ5』は第55回日本レコード大賞の優秀アルバム賞を受賞した。

  • 取材/文:岡本麻佑

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/